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職場の飲酒運転対策メルマガ      バックナンバー

ASK飲酒運転対策特別委員会が無料配信している「職場の飲酒運転対策メルマガ」のバックナンバーです。

70号2012

★__________________________
 ☆ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     【職場の飲酒運転対策メルマガ】  
                  70号 12.3.15
                   ASK飲酒運転対策特別委員会
                   http://www.ask.or.jp/
    ___________________________☆
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄★

 飲酒運転防止への社会的意識の高まりを受けて、運輸業界をはじめ、
 さまざまな職場で、今、積極的な取組みが模索されています。
 このメルマガでは、ヒントになる事柄、役に立つ情報をお伝えして
 いきたいと思っています。

=================== このメールマガジンは ====================
 特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)内に
 設置された飲酒運転対策特別委員会が、情報提供のために発行する
 ものです。
 ASKのホームページ http://www.ask.or.jp/ からご登録いただいた
 方に、月1回、無料で配信します。
===========================================================

━━━ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    1.インストラクター養成講座NOW!
    2.ASKからのお知らせ
    3.ニュースCLIP!
    4.山さんコラム No.68
    5.ASKの活動ご紹介
    6.編集後記 *NEKOのつぶやき*

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   東日本を襲った大震災から、1年。
    人間の力では、防げないことがあるのを思い知った。
      だからこそ、人間の力で防げる事故は防ぎたい。

==============================================================★
  1.インストラクター養成講座NOW!
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 ★第5期飲酒運転防止インストラクター養成講座、受付スタート!

 「飲酒運転防止インストラクター養成講座」第5期の受付を、3月10日より
 開始しました。

 ■受講料(自己負担分)15,000円 ■定員400名
 ※受講料には通信講座(添削3回含)・スクーリング・教材用DVD・認定
 等の費用すべてが含まれます。

 すでにかなりのお申し込みをいただいています。
 例年、希望者殺到のため早々に募集枠が埋まりますので、どうぞお早めに。
 ホームページからお申し込みください。
   ↓   ↓   ↓
 http://www.ask.or.jp/ddd_instructor.html

 FAX・郵送でもOKです。 

 ★上級インストラクター養成にも助成がつきます!
 
 認定インストラクターとしての経験をもとに、アルコール問題についての
 研鑽をさらに積み、研修の実技審査に合格すると上級インストラクターと
 して認定されます。
 今期は、10名限定で、通信講座部分(30,870円)に助成がつきます。
 3月中に、認定インストラクターのうち、条件に該当する人に個別に応募
 書面をお送りしますので、希望者はその書面で応募してください。
 (書類審査があります)

 なお、これまでに認定された上級インストラクターの紹介ページはこちら。
  ↓   ↓   ↓
 http://www.ask.or.jp/ddd_inst_jyoukyuu.html 

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  2.ASKからのお知らせ
=============================================================== 
 
 ★アル法ネットのホームページが開設されました!

 2010年、WHOが「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」を
 決議しました。さまざまな病気や問題の背景にアルコールの有害な使用
 (多量飲酒やアルコール依存症)が隠れているとして、加盟国に積極的な
 対策をうながしたのです。
 しかし、日本では対策が進んでいません。
 そこで、関連団体が連携して、アルコール関連問題基本法推進ネット(アル法
 ネット)設立委員会が発足しました。事務局はASKです。
 来る5月31日に、設立総会を開く予定です。
 ホームページができましたので、ぜひご覧ください。賛同団体も募集中です。
  ↓ ↓ ↓
 http://alhonet.jp/ 
 
 ★トイレットペーパーを景品に、被災地の仮設でも健康教育!

 保健師・精神保健福祉士で、秋田大学医学部保健学科の講師でもある、
 上級インストラクターの熊澤さんから、トイレットペーパーの追加注文が。
 アイデアマンの熊沢さんのこと、新たな活用法を思いついたのでは?
 さっそくお話を伺ったところ――
 
 地元の企業がメンタルヘルスの一環としてアルコール問題をとりあげること
 になったんです。40代の方たちが中心だったので、ご自分の飲酒を振り返る
 のにちょうどよい時期。しかも、子育て期でもありますから、子どもにも伝
 えることもできて一石二鳥です。そこで、家庭に持ち帰って話題にしていた
 だくため、研修時にトイレットペーパーを配ることにしました。

 手元にトイレットペーパーが2個残ったので、釜石市に支援に行くときに持って
 行くことにしました。
 仮設住宅の集会所での健康教育の導入に使うためです。
 まず「負けるが勝ちジャンケン」をやって、一番負けた人にトイレットペーパー
 をさしあげる! その他の方たちには、断酒会からいただいた飲酒運転防止
 のティッシュペーパーを配ります。
 そしておもむろに、言うのです。
 「ちょっとそのトイレットペーパーを開けてみてください。なんて書いてあり
 ますか?」 
 こうやってアルコール教育を始めます。場はなごむし関心を持ってもらえます。

 被災地ではアルコール問題が始まりつつあります。口コミで予防知識が
 広まってくれるよう願って活動しています。

  
 【トイレットペーパー「飲酒運転防止(7つの落とし穴)」】
  ↓   ↓   ↓
  http://goo.gl/LhpCS

 (熊澤さんのプロフィールはこちら)
   ↓   ↓   ↓
  http://www.ask.or.jp/ddd_inst_jyoukyuu_touhoku.html
  
 ★社内の飲酒運転防止対策に、こちらもご活用ください。

 ●DVD&ハンドブック
 「知って得する!アルコールの基礎知識」
 http://www.ask.or.jp/ddd_dvd.html#book

 ●体質ごとの飲酒リスクがわかる!
 ASKアルコール体質判定セット「かんたんジェルパッチ」
 http://www.a-h-c.jp/tool_taihan.html

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  3.ニュースCLIP!
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 昨年、インストラクター養成講座の募集開始翌日に震災がきました。
 あれから1年……。

    人間の力では、防げないことがあるのを思い知った。
      だからこそ、人間の力で防げる事故は防ぎたい。

 冒頭のこの言葉は、震災から1ヵ月目の当メルマガに掲載したもの。
 1年目の今、あらためて、この言葉をかみしめたいと思います。

 今号の内容はこちらです。
 新人の準備が整うまで、今成が中継ぎでお送りします。
 お時間の許すかぎり、おつきあいください。

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 1)警察官がアルコール数値を捏造(ねつぞう)
 2)福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例
 3)条例成立の福岡で、市職員が車を盗んで飲酒運転
 4)相次ぐ消防士の飲酒運転
 5)飛び込まれた店も客もたまらない
 6)がんのリスクを低下させる「5つの生活習慣」

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 1)警察官がアルコール数値を捏造(ねつぞう)

 警察の取り締まりへの信頼性をゆるがす事件が起きました。
 ベテラン警察官が、飲酒検査でアルコール数値を捏造したとして逮捕され
 たのです。

 ◎捜査書類偽造:署の飲酒運転検挙の目標達成のため犯行か(3月8日 毎日新聞)
 ◎「飲酒」「証拠」捏造インチキ警察官の「なんでやねん」(3月11日 産経新聞)

 逮捕されたのは、大阪府警泉南署の交通指導係長。
 飲酒運転の取り締まりでは府警でトップクラスの実績を誇り、表彰も受けた
 警部補(57)でした。
 一人で取り締まりに出ることが多く、飲酒検知の際は、アルコール測定器
 を背後に置いて見せないようにして、事前に準備していた虚偽内容の記録紙
 とすり替えていたとされています。
 苦情が複数寄せられて明るみに出ました。

 なぜこんなことを?

 新聞は「背景には警察のノルマ主義、減点主義がある」と指摘しています。
 大阪府は、昨年1年間で飲酒死亡事故が21件で全国最悪。
 府警本部は飲酒運転の取り締まり強化を各署に指示していました。
 泉南署の飲酒運転の検挙数は79件で前年の36件の倍以上に急増。
 このうち、6割以上となる51件が、この警部補の実績だったというのです。

 評価されたい気持ちもあったのかもしれません。
 それにしても、なぜ……。


 2)福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例

 前号でご紹介した「福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例」が、2月
 22日、全会一致で可決・成立しました。

 福岡県警のサイトに、わかりやすく紹介されています。
  ↓ ↓ ↓
 http://www.police.pref.fukuoka.jp/kotsu/kotsukikaku/kotsukikakuanzen/h24_alc/alc.html

 条例の全文は福岡県議会のサイトにありました。
  ↓ ↓ ↓
 http://www.gikai.pref.fukuoka.lg.jp/insyu-jyorei.pdf

 条例では、飲酒運転で初めて検挙された人に対しては、指定医療機関で
 「アルコール依存症に関する診断を受けるよう努める」となっています。
 さらに、再び検挙された場合は必ず指定医療機関を受診しなければならず、
 依存症と診断されれば治療義務が生じます。
 知事の受診命令に従わない場合は、5万円以下の過料が科されます。
 依存症と診断されなかった場合は、飲酒行動是正プログラムか啓発的社会
 活動等のプログラムへの参加が義務づけられています。

 また、通勤や通学の途中に飲酒運転で検挙された場合は、公安委員会が勤め
 先や学校に通知し、勤め先や学校は飲酒運転を防止する措置を講じなければ
 ならないとしています。

 飲酒運転の撲滅を目指す条例に「罰則」が盛り込まれたのは初めてとのこと。
 日本初の画期的な試みを、期待をこめて見守りたいと思います。


 3)条例成立の福岡で、市職員が車を盗んで飲酒運転

 さてその福岡で、条例成立から3日目に、とんでもない事件が起きました。
 福岡市の消防署職員が酒を飲み、車を盗んで飲酒運転に及んだのです。
 
 ◎窃盗:飲酒の福岡市職員、車盗み運転の疑い(2月25日 毎日新聞)
 ◎消防士、飲酒運転で追送検=車盗んで帰宅途中―福岡(3月13日 時事通信)
 
 2月24日夜、消防署職員(21)は福岡市内で職場の先輩と酒を飲み、西鉄天神
 大牟田線で帰宅しようとしたところ、久留米駅まで寝過ごしてしまいました。
 帰りの電車はなくなり、タクシーもつかまらず。結局、駅から約2.5キロ南の
 飲食店駐車場で、エンジンをかけたまま止めてあった車を見つけ、帰宅しよう
 と運転したのです。
 所有者から通報を受け、パトカーが25日午前2時半ごろ、市道で車を見つけ、
 窃盗容疑で逮捕しました。
 酒のにおいがしたため、午前3時半過ぎに署で飲酒検査をしたところ、呼気
 0.2mg/lのアルコールが検出されました。「缶ビールを7~8本飲んだ」と容疑
 を認めています。

 アルコールは脳を、理性を、マヒさせます。
 しらふなら、乗り越しても、まさかこんなことはしなかったでしょう。

 以下、報道から見る福岡市の対策です。新しい動きを見せています。

 ・全職員に飲酒習慣についてのアンケート実施(AUDIT)
  調査結果は職場単位で管理し、所属長が職員の飲酒習慣を把握して個別指導

 ・庁内公募で職員約160人を集め、飲酒運転の防止策を話し合う「不祥事再発
  防止に向けた職員検討会」を開催(4~5人のグループに分かれて自由討論)

  「飲酒運転事故の遺族らの話を直接聞く会を定期的に開く」
  「全庁的に業務用パソコンの待ち受け画面に『飲酒運転撲滅』の標語を表示」
  「形骸化した研修に、教習場の飲酒運転体験などを加える」
  などの案が出たとのこと。

 市は、これらの案を参考に、職員の行動指針を4月に策定するとのことです。


 4)相次ぐ消防士の飲酒運転

 福岡市消防署員(21)の窃盗・飲酒運転という衝撃からほどなく、群馬県伊勢崎
 市の消防士(23)が逮捕されました。

 ◎酒気帯びで消防士逮捕=接触事故後、逃走―群馬(3月1日 時事通信)

 2月29日午後11時15分ごろ、停車中の車と接触し逃げたため、被害者が110番
 した上で追跡。3.4キロ離れた市道で駆けつけた警察官に発見され、呼気0.15
 mg/l以上のアルコールが検出。帰宅途中だったということです。

 ◎酒気帯び運転:川西町、逮捕の消防士長を懲戒免/山形(3月1日 毎日新聞) 

 2月9日には、山形県の消防士長(38)が現行犯逮捕されており、懲戒免職になり
 ました。
 前日が公休で、同僚とゴルフをし別れた後、飲みに行き、ショッピングセンター
 に駐車した自車内で仮眠。翌朝運転して職務質問、酒気帯びが発覚したのです。

 1ヵ月間に消防士が3人も。しかも若手。
 対策が必要です。

 ★飲酒運転防止インストラクター養成講座
   ↓   ↓   ↓
 http://www.ask.or.jp/ddd_instructor.html

 ●DVD&ハンドブック
 「知って得する!アルコールの基礎知識」
 http://www.ask.or.jp/ddd_dvd.html#book


 5)飛び込まれた店も客もたまらない

 3月4日、神奈川と福岡で、飲酒運転の車が店に飛び込み、客がケガをする
 事件がありました。

 ◎牛丼店に車突っ込む、酒気帯び運転容疑(3月4日 TBS系)

 午前3時ごろ、神奈川県小田原市の交差点を曲がりきれなかった車が、牛丼
 店に突っ込み、店内で食事をしていた客が軽傷を負いました。
 運転していた会社員(40)は酒に酔っていて、「1人で飲んで家に帰る途中
 だった」と容疑を認めています。

 ◎弁当店に飲酒運転の車、客けが 過失傷害容疑で逮捕(3月5日 朝日新聞)

 午後3時23分ごろ、福岡県糸島市の国道沿いの弁当店の駐車場に車を止めよう
 とした食品販売業者(46)が店に突っ込み、店内にいた客に軽傷を負わせて
 逃走。通報を受けた署員が、約600m離れた家の駐車場で右前部が壊れた車を
 見つけ、事情を聴くと容疑を認めました。
 「アクセルとブレーキを踏み間違えた。昼に自宅でビール500mlを2缶と焼酎
 1合を飲んでいたので、飲酒運転がばれると思って逃げた」

 飲酒運転ニュースを見ていると、夜中にコンビニに突っ込むというケースが
 よくあります。
 2010年1月には、横浜市の居酒屋に飲酒運転の車が突っ込み、3人が死傷する
 事件が起きています。この運転手も「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」
 と供述していました。


 6)がんのリスクを低下させる「5つの生活習慣」

 国立がん研究センターが、「5つの生活習慣を実践すると、がんのリスクを
 4割減少できる」という研究結果を発表しました。

 ◎がん:五つの生活習慣の実践でリスク4割低下(3月5日 毎日新聞) 

 1990年代後半に45~74歳だった7万8548人を2006年まで追跡、がんのリスクを
 下げると言われている5つの生活習慣とがんの発生率との関係を調べたのです。

 その5つの生活習慣とは?

 ・禁煙
 ・節酒(1日日本酒1合以下を週6日以内)
 ・塩分控えめの食事
 ・活発な活動
  (1日に男性でスポーツ1時間以上、女性で立ったり歩いたり3時間以上)
 ・適正な体重(体格指数=BMI=が男性で21~27、女性で19~25) 

 禁煙に続いて「節酒」が入っています。
 日本酒1合といえば1単位(純アルコール約20gを含むお酒)。健康日本21で
 「節度ある適度な飲酒」といわれている量です。
 ビールなら中瓶(500ml)1本、7%のチューハイなら350ml1缶に相当します。
 つまり、1日1単位以下、週に1日以上の休肝日を設けるということです。

 5つの生活習慣のうち、2つを実践しているグループは、ゼロまたは1つだけ
 実践しているグループに比べ、がんのリスクが男女とも14%低下。
 さらに実践している生活習慣の数が多いほど、男女ともリスクが直線的に
 低下。5つすべてを実践すると、男性で43%、女性で37%低下するそうです。

 あなたはいくつ実践していますか?

=============================================================★
   4.山さんコラム No.68
==============================================================

 ASK飲酒運転対策特別委員会委員長
 元・JRバス関東株式会社会長     山村陽一

 ◆絶滅危惧種にならないために

 酒はコミュニケーションの道具として役に立つ、と言われる。
 これを身近なところで検証してみたい。
 そこで、3人の伯父の話から。

 母方の伯父2人は大工の棟梁だった。
 1人はまったくの下戸。1人は必ず晩酌をする。

 下戸の伯父は、おしゃべり。朝、食事前から食後のお茶まで、よくしゃべった。
 顔をみれば話しかけてくる。あいそはないが、建築関係の話をはじめ地域
 のいわれなど、いろいろなことを教えてくれた。組合の寄り合い、旅行会
 などにも積極的に参加し、社交的だった。
 酒の場でどんな振る舞いをしたかは分らない。正月遊びにいっても飲んで
 いる姿をみたことがない。田舎から親戚の子供を何人も呼び寄せ。腕の良い
 大工に育てた。

 晩酌をする伯父は無口。出会って挨拶しても軽くうなずくだけ。
 ところが夕食の際、1口か2口酒を飲むと笑顔になり、しゃべり出す。ほんの
 り紅かくなって少年のような優しい顔つきになる。そして気軽にいろいろ
 質問をして、冗談まで飛び出す。この変化が、とても印象的だった。
 確か晩酌は「桜正宗」。当時、灘の酒のうちで一番甘口といわれた。「伯父
 さん、甘口の酒が好きなの」と聞くと「酒も菓子も甘いのがいいね。体を
 使うから」との返事。
 たいていお銚子1本で終え、すぐご飯を食べた。今から思うと「ほんとは
 飲めない族」だったのだろう。軍隊や大工仲間の付き合いで、酒を訓練した
 にちがいない。
 この伯父、趣味らしい趣味は無くひたすら仕事に没頭。仕事がなければ、
 材木の切れ端で家具類を作った。60年前は無口でもくもく働き、良い仕事を
 するのが名職人。隠居でもしなければ趣味などはもたない。
 神楽坂の料亭から注文がくるほど腕はたったが、弟子を育てられなかった。
 素面でのコミュニケーション能力が不足だったせいかもしれない。

 父方の伯父は、大酒呑み。彼もまた無口。無愛想。
 自動車が好きで、戦争前にはタクシー運転手のさきがけ、当時のタクシー
 運転許可証をもらった最初の10人に入るほど。戦中・戦後は運送会社の
 トラック整備場の親方。
 酒を飲んでいないときの顔は怖かった。もっとも素面の顔は、1度か2度
 しかみていない。
 会うのはお正月など祝いごとの席。必ず酒が入っている。そうなれば上機嫌。
 冗談もいえばお世辞もたくさんでる。まるで人が変ったようだ。お小遣いも
 くれ、パチンコ屋につれてってくれる面白い伯父さんに変身だ。
 酒は「金盃」。辛口の酒。木枠に入った1升ビン6本。いつも廊下に買い
 置きしてあった。
 62歳、肝臓癌で他界。最後は好きな酒を飲めず、酒びんならぬ酸素吸入
 ボンベを何本もベッドの脇に並べていた。

 ところで、この大酒呑みの伯父には子どもがいなかった。
 お正月には親戚中の子どもを集め大宴会を開催。酔ってくると都々逸や端唄
 が出る。
 山さんの親父は対抗上、稗つき節(ひえつきぶし・宮崎県の民謡)を唄うが、
 酔いが回れば浅草オペラのアリアなどを出す。
 子どもにおはちが回ってきて中学2年の従姉が、当時はやっていた「お富さ
 ん」を唄う。普段は顔色の悪い女の子だが、一杯のお屠蘇のせいか、人前
 で歌う興奮のせいか、ほほを紅潮させ、声をはりあげて「死んだはずだよ、
 お富さん……」とやった。拍手かっさい。
 一方、就職していた従兄は下戸でまったく酒はダメ。歌もダメ。でもお世辞
 を言ったり、冗談をいったりして場をもりあげるのがとてもうまい。恋愛
 関係なども衆人の前で、ちらりとだしたりする。愉快な青年。子どもたちに
 人気だ。
 この人の母にあたる伯母さんは、煙草はやるし酒もやる。他の女性たちは、
 皆、「わたしは不調法で飲めないんです」と断わるのに、すすめられると
 微笑んで「そうーお、お正月だから一つだけ頂こうかしら」といって、ス
 マートに杯を干し「はいご返杯」と返す。子どもながらに、何となく素人
 ぽくないなと思った。

 こうして、昔をふりかえってみると、酒がコミュニケーションの道具として
 使われ、会合を盛り上げるのに役立っているのは間違いない。無口な人を
 社交的にする効用がある。知り合い同士の絆を強めたり、知らぬ同士を親し
 くしたりする力も強い。
 そして飲兵衛たちは子どもに対して、たくさん飲むことは良いことという
 飲酒教育を行い、後継者を育成してきた。
 だが、注目すべきは、飲み会の場の「飲めない族」の行動だ。

 下戸の伯父や従兄たちは、積極的にコミュニケーションをとっていた。
 普段、酒なしでも、酒を飲む場合でも、おしゃべりで場持ちがいい。世を
 渡っていくうちに身につけたに相違ない。
 とかく日本社会では、一人前の「男」が酒も飲めず口が重く付き合いが悪
 ければ、使いづらい人間として排除される。だから「飲めない族」は、コ
 ミュニケーション能力を高める努力をする。その結果、社交的になったり
 説得力のある話し方ができたりして職業人生において成功する。
 数万年前、突然変異で生まれた飲めない族。そして今や現代日本人の約4割
 から5割が「飲めない族+ほんとは飲めない族」。酒がある文明社会では、
 飲めない族が子孫を残す上で有利なのだ。
 理由は、「飲めない族」は男女共に酒害を受けないから。特に妊娠・授乳・
 育児を受け持つ女性が「飲めない」のは大きい。昔は「飲める女性」も飲め
 ないふりをした。
 さらに飲めない族は、酒に頼らない「真のコミュニケーション能力、場を
 読み盛り上げる能力、明るく陽気に振舞う能力」をもつことに努める。
 農業開始以来、酒は儀式・行事・祝い事などの会合で重要な役割をはたし
 てきた。
 「飲めない族」は、コミュニケーション能力の必要性を、このような飲酒
 場面でいやというほど気づかされる。酒に強くしっかりした男が重用された
 一方で、飲んだ全員に酔いが回った時、冷静に会を取り仕切る人間がいなけ
 れば儀式も行事は完結できない。酔ってもいないのに会に溶け込み、会を
 盛り上げながら、会の進行を冷静に見守り、うまく「お開き」にする人の
 存在は貴重だったに違いない。
 そうして「飲めない続」は繁栄してきたのだ。

 いわゆる酒に強い体質の「危ない族」は、飲みニケーションにより昇進し
 ても、多量飲酒のせいで仕事をミスしたり、体をこわしたりして出世競争
 から脱落する場合も多い。飲兵衛から伝承された「酒の効用」を無邪気に
 信じ、多量飲酒を楽しんでいると、いつか落とし穴にはまる。出世を望む
 酒飲みは「節度ある適度な飲酒」で仕事や健康を守りたい……。

 ここまで考察してひらめいた。WHOがアルコールの害に対して本気で
 取り組もうとしているのは、酒飲みの「危ない族」のためだということを。
 もし、このまま放置していれば、「危ない族」はあっという間に絶滅危惧
 種になってしまうだろう。
 「節度ある適度な飲酒」の啓蒙活動は、酒飲み(危ない族)保護運動なのだ。
 多量飲酒の鎖を断ち切るため、万国の酒飲みよ立ち上がれ。

=============================================================★
  5.ASKの活動ご紹介
==============================================================

 特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)は、
 アルコール問題の予防に取り組む任意団体として1983年に設立、
 2000年にNPO法人になりました。1994年には、出版・研修の事業部
 門が(株)アスク・ヒューマン・ケアとなり、活動と事業の両面から
 予防を推進しています。

 ASKでは、「飲酒運転を防止するためには、アルコール依存症の
 早期発見・介入を視野に入れた総合的な予防対策が欠かせない」との
 認識のもと、2005年に飲酒運転対策特別委員会を発足させました。
 山村陽一委員長と今成知美ASK代表のリーダーシップのもと、被害
 者遺族・専門家・関係機関と連携しつつ、予防と再発防止の両面から
 本格的な飲酒運転防止対策に取り組んでいます。

 これまでに行なってきた活動は……

 ・被害者遺族による厳罰化署名運動や、生命のメッセージ展に協力
 ・運行管理者用テキストに「一歩踏み込んだ飲酒運転防止対策」執筆
 ・アメリカで酒気帯び運転で検挙された日本人に対して米国裁判所指
  定の教育プログラムを実施
 ・日本損保協会の「飲酒運転防止マニュアル」に執筆協力
  日本損保協会主催のシンポジウムに協賛し、全国各地で講演
 ・バス会社から運転手向けの予防プログラム「セルフケアスクール」
  を委託され、プログラムを開発
 ・「飲酒運転防止<通信スクール>」のプログラム開発
 ・職場の飲酒運転対策メルマガの発行
 ・啓発パンフ「飲酒運転 あなたは大丈夫?」制作
 ・代表今成がアメリカ・カリフォルニア州の飲酒運転再犯防止対策の
  視察、内閣府主催シンポジウムで報告
 ・国土交通省主催のシンポジウムで、山村、今成が発表
 ・今成がオーストラリア・ニューサウスウェルズ州の対策を視察
 ・国の「常習飲酒運転対策推進会議」で今成が海外視察報告
 ・「飲酒運転 懲戒処分事例の分析07・4・10」をまとめる
 ・研修用DVD「知って得する!アルコールの基礎知識」製作
 ・〔飲酒運転防止インストラクター養成講座〕を開始
  日本損害保険協会の助成で3年間に1000人の養成を目指す
 ・「飲酒運転 運転代行の落とし穴06・9~08・4」をまとめる
 ・「教職員の飲酒運転 懲戒処分事例の分析07・10~08・9」をまとめる
 ・山村が警察庁主催シンポジウムで報告
 ・内閣府、常習飲酒運転者対策についてのヒアリングで今成が報告
 ・特設サイト「職場の飲酒運転対策チェック!」を製作
 ・DVD「知って得する!アルコールの基礎知識」冊子化
 ・厚生労働省シンポジウムで今成が報告
 ・トイレットペーパー「飲酒運転防止(7つの落とし穴)」を製作
 ・「警察職員による飲酒運転事例の分析07~11」をまとめる

 ↓詳しくは、ASKのホームページをご覧ください↓
 http://www.ask.or.jp/dontdrivedrunk.html

==============編集後記 *NEKOのつぶやき*===================

 記録的な寒波で、なかなか春がきません。
 と書いていたら、今日は日差しがちょっと暖かいような。
 この天候、今年は梅・桃・桜の同時開花を見られるかもしれませんね。
 せめて、それを楽しみに待ちましょう。

 今、ASKでは3つの活動が同時進行中です!
 1つは、5年目に入る飲酒運転防止インストラクター養成講座。
 2つ目は、3月23日スタートのイッキ飲み・アルハラ防止キャンペーン。
 そして、アル法ネットです。
 
 外は北風でも、事務所の中は熱気にあふれています!
 
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

 【職場の飲酒運転対策メルマガ】70号 12.3.15
                  
 発行 特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)
    飲酒運転対策特別委員会
  
       〒103-0007 東京都中央区日本橋浜町3-16-7-7F         
       Tel 03-3249-2551 Fax 03-3249-2553             
       URL http://www.ask.or.jp/ email ask-ddd★(★を@に変えてください)a-h-c.jp

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
プロフィール

ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)

Author:ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)
http://www.ask.or.jp/

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