職場の飲酒運転対策メルマガ      バックナンバー

ASK飲酒運転対策特別委員会が無料配信している「職場の飲酒運転対策メルマガ」のバックナンバーです。

50号 2010

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     【職場の飲酒運転対策メルマガ】  
                  50号 10.7.14
                   ASK飲酒運転対策特別委員会
                   http://www.ask.or.jp/
    ___________________________☆
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 飲酒運転防止への社会的意識の高まりを受けて、運輸業界をはじめ、
 さまざまな職場で、今、積極的な取組みが模索されています。
 このメルマガでは、ヒントになる事柄、役に立つ情報をお伝えして
 いきたいと思っています。

=================== このメールマガジンは ====================
 特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)内に
 設置された飲酒運転対策特別委員会が、情報提供のために発行する
 ものです。
 ASKのホームページhttp://www.ask.or.jp/からご登録いただいた方
 に、月1回、無料で配信します。
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━━━ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    1.インストラクター養成講座NOW!
    2.NEKOのニュースCLIP!
    3.山さんコラム No.48
    4.ASKの活動ご紹介
    5.編集後記 *NEKOのつぶやき*
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   近畿地方を中心に、
      そこから東西、南北方向に離れるほど、高くなる
           さて、なんでしょう?
              
              ※答えはニュースクリップ(6)へ
 
==============================================================★
  1.インストラクター養成講座NOW!
===============================================================
 
 第3期飲酒運転防止インストラクター養成講座が始まりました。
 今年も全国からたくさんの応募があり、590名の受講者を受付ました。
 
 すでに95名の方が、【ステップ1】通信スクールを修了しています。
 修了者のアンケートの中から一部をご紹介します。

 ●自衛隊では、教育訓練の中に「服務」という課目があり、飲酒を含めたい
  ろいろな教育を実施しているが、この資料を用いて今までより、深い教育
  ができる。(自衛隊)
 
 ●常習性のある者や飲酒量の多い者が、今まで間違った知識を持っていた
  ことに対して指導できる事が良かったと思える。(トラック)
 
 ●クイズ形式になっていると、抵抗感なく取り組めるようで、職場での受け
  が非常に良かった。これを活用しながら、少しずつでも認識を高められる
  ようにしていきたいと思っている、(医療機関)
 
 ●素晴らしいシステムに出会えてよかった。他の者にも順番に受講させたい
  と思います。(トラック)
 
 ●交通教室で厳罰化等の話はしてきましたが、依存症の知識はありません
  でしたので、今後実践ワークやクイズを活用して、より受講者の心の中に
  入っていけるような話をしたいと思います。(警察)

 ●勤務の都合上どうしても不規則な生活になりがちですので、アルコール以
  外の部分でも生活習慣の工夫を職場で指導していきたいです。(バス)

 ●遺族、受刑者、依存症回復者の手記などは、もっとたくさん読みたいです。
  職場で同じことが無いようにしたいです。(バス)
  
 通信スクールを修了すると、全国各地で行なわれる【ステップ2】スクーリング
 に参加することができます。
 来月には、スクーリングの案内を送付します。

 前期(第2期)のスクーリングのようすは、こちらをどうぞ。
 スクーリング修了の声です。
  ↓    ↓    ↓
 http://www.ask.or.jp/ddd_inst_schooling_end02.html#koe
 
==============================================================★
  2.NEKOのニュースCLIP!
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 ゲリラ豪雨なるものが、全国各地を襲っています。
 各地で大きな爪あとを残しているようで、自然の怖さをあらためて感じ、
 被災に心が痛みます。
 ドライバーの皆さんも、視界が悪くなり、危険も多くなると思います。
 くれぐれもお気をつけ下さい。 

 私自身も、強風で傘が壊れ、ずぶぬれになることもしばしば。
 そのうち、傘をさすのも面倒になり、多少の雨なら濡れて歩く始末です。 
 
 さて、今号の内容はこちらです。
 お時間の許すかぎり、おつきあいください。

 ※ニュースのリンクは「ウェブ魚拓http://megalodon.jp/
 を利用しています。リンクが切れて記事が読めなくなるのを防ぐためです。
 まず、記事の日付をクリックしてください。すると、
 「宜しければ上記のリンクをクリックしてください」という表示が出ますので、
 クリックをお願いします。

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 1)逃げ得を許さない!
 2)飲酒運転をほう助した人の責任
 3)リンジーその後
 4)依存症が疑われる事例
 5)「原則懲戒免職」からの転換
 6)全国酒豪マップ
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 1)逃げ得を許さない!
 
 昨年9月11日午前1時ごろ、高知市の市道で乗用車で走行中に、銀行員を
 はねて現場から逃走、被害者は後日、死亡するという事件が起きました。
 加害者は事故の2時間前まで飲酒していたことを認めているにも関わらず、
 地検は「証拠不十分」として不起訴処分にしました。
 遺族側は危険運転致死罪への訴因変更を求めて嘆願書と署名を提出して
 いました。  
 裁判官は、現場から逃走した理由を、「酒気帯び運転の発覚を免れること
 にもあった」と指摘。「『酒気帯び運転の逃げ得を許してはならない』と
 いう被害者遺族の心情も十分理解できる」と述べました。
 しかし、社会的制裁を受け十分に反省しているとして、危険運転致死罪の
 適用は見送られ、懲役4年4カ月(求刑5年)の実刑判決を言い渡しました。

 ↓高知のひき逃げ:「飲酒」被告に実刑 求刑下回り、遺族「理解できぬ」
  (6月29日 毎日新聞)↓
 http://megalodon.jp/2010-0711-1713-29/mainichi.jp/area/kochi/news/20100629ddlk39040577000c.html

 この事件で被害者は、人通りの少ない未明の路上に1時間40分にわたって
 放置され、搬送先の病院で6日後に亡くなっています。
 もしも、その場で救護していたら助かったかもしれません。

 その場から逃げてしまい飲酒していたことが立証できない場合、危険運転
 致死傷罪が適用されない。飲酒の発覚を恐れて、救護もせずに逃げだして、
 酒が抜けてから自首したほうが罪が軽くなってしまう。
 どうにも納得できない抜け穴です。

 被害者遺族たちは6月22日、法相に8万3千人の署名を添えて、飲酒ひき逃げ
 事犯の厳罰化を求めました。

 ↓飲酒ひき逃げ許さない(7月8日 東京新聞)↓
 http://megalodon.jp/2010-0709-1820-13/www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2010070802000115.html


 2)飲酒運転をほう助した人の責任

 横浜市の居酒屋に乗用車が突っ込み、3人が死傷した事故を覚えていますか。
 横浜地裁は7月2日、飲酒運転をした男に車を貸して道交法違反(車両提供)
 の罪に問われた女性(40)に対して、懲役10ヵ月、執行猶予3年(求刑懲役
 10ヵ月)を言い渡しました。

 ↓車両提供の女に懲役10ヵ月求刑/横浜地裁 6月28日 神奈川新聞↓
 http://megalodon.jp/2010-0712-2226-52/news.kanaloco.jp/localnews/article/1006280032/

 被告の女性は「(2人で酒を飲んだ後に仮眠をとったが)自分がフラフラ
 だったので、運転をお願いした。男も酔っていると思ったが、自分よりは
 大丈夫そうに見えた」と述べていました。

 熱を出した長男を病院に連れて行くため、運転を依頼したということですが、
 なぜ、タクシーを使わなかったのでしょうか。
 被告女性が運転を依頼しなければ起きなかった事故。責任は重大です。

 宮崎市でもこんな事件がありました。
 歩行者の女性が乗用車にはねられ死亡した事故で、道交法違反(車両提供)
 の疑いで無職男性(65)と、同法違反(酒類提供)の疑いで自動車板金業者
 (62)を逮捕したのです。

 ↓飲酒運転容疑者に酒、車提供した疑い 宮崎 7月10日 朝日新聞
 http://megalodon.jp/2010-0712-2227-41/mytown.asahi.com/miyazaki/news.php?k_id=46000001007100002
 
 2人は飲酒死亡事故を起こした容疑者(38)と事故直前まで一緒に飲酒。容
 疑者が飲酒運転する可能性があることを知りながら、自分の車を貸したり、
 ビールや焼酎を提供したといいます。
 60代の人々が30代の若者をほう助しているのです。

 周囲の責任をもっとアピールする必要がありますね。


 3)リンジーその後

 足首飲酒モニターの装着を命じられた、米女優のリンジー・ローハン。
 ↓前号を読んでいない方はこちらを↓
 http://dontdrivedrunk.blog74.fc2.com/blog-entry-67.html

 お騒がせリンジーですが、飲酒運転者に対するアメリカの対応がよくわか
 る興味深い事例です。

 ●2007年の飲酒運転で有罪判決を受け、6ヵ月間のアルコール依存症のリハ
 ビリプログラムを受講することなどを条件に、保護観察処分に
    ↓
 ●プログラムに何度も欠席を繰り返したため、今年5月、足首にSCRAMの着用
 を義務付けられる
    ↓
 ●6月6日に検知器が反応
    ↓
 ●事情聴取のために一時逮捕、「少量のアルコールが検知された」と発表
    ↓
 ●公判が開かれる
 リンジーは「今度はアルコール依存者のためのプログラムをまじめに受ける。
 ジョークではない。カムバックして多くの人を幸せにしたいの」と涙ながら
 に裁判長に懇願
 しかし裁判長は「裁判所の命令に応じなかった」と禁固90日の判決を下す

 ↓お騒がせ女優リンジー・ローハンに禁固90日 法廷で大泣き
  (7月7日産経新聞)1ページ目↓
http://megalodon.jp/2010-0707-1309-41/sankei.jp.msn.com/entertainmen
ts/entertainers/100707/tnr1007071118004-n1.htm
 ↓2ページ目↓
 http://megalodon.jp/2010-0707-1310-36/sankei.jp.msn.com/entertainm
ents/entertainers/100707/tnr1007071118004-n2.htm

 リンジーは、禁固と同時に治療プログラムを受けるように命令されました。
 今月20日にカリフォルニア州南部リンウッドの施設に入る見通しです。

 アメリカ・カリフォルニア州では、飲酒運転の再犯防止のために、罰則と
 と教育治療プログラムを組み合わせ、保護観察という形で裁判所が実行を
 見守ります。詳しくは以下をご覧ください。

 カリフォルニア州の飲酒運転再犯防止システム<概要> (ASKHPより)
  ↓    ↓    ↓
 http://www.ask.or.jp/ddd_california.html
 
 日本にも必要な対策です。
 

 4)依存症が疑われる事例
 
 今月も、アルコール依存症が疑われる事例がたくさんありました。 
 
 ●無職(77)(6月23日 佐賀新聞)
 22日午前10時ごろ、コンビニエンスストアの店員から、「酒臭い客がビール
 を買って車で出て行った」と110番通報があった、正午に呼気0.2mg/lを検出し、
 赤切符を切り、パトカーで自宅まで送り届けた。
 しばらくして同コンビニにお礼を伝えに行くと、「あの客、またビールを買い
 に来ました」と店員。午後4時50分ごろ、国道で発見。呼気0.27mg/lを検出。 
 「家で飲んだ」と話している。
 →懲りずに繰り返す 

 ●警部補(47)(6月28日 読売新聞)
 20日午前10時頃、飲酒した状態でオートバイを運転、自損事故を起こした。
 目撃者が通報。呼気0.6mg/lのアルコール分を検出した。
 調べに対し、この日朝、飲酒したことを認めたという。
 →朝酒 呼気0.6mg/l

 ●教頭(53)(6月30日 産経新聞)
 26日午前5時20分ごろ、軽トラックを運転中、縁石に接触、はずみで反対車
 線の防波堤に衝突。呼気0.25mg/l以上が検出。25日夕方から26日午前3時半
 頃まで、知人と市内の飲食店3軒でビール1リットル、日本酒2合、焼酎の
 水割り10杯以上を飲んでいたという。
 →大量飲酒

 ●消防署副所長(52)(7月2日 中国新聞)
 6月25日午後6時から約2時間半、市内の居酒屋で懇親会に参加。ビール中
 ジョッキ7、8杯、焼酎水割り3杯を飲んだ。さらにスナック2軒をはしごし、
 ウイスキーの水割りを飲んだという。同11時ごろ、消防署の駐車場に止めて
 いた軽乗用車を運転、縁石に乗り上げた。「2軒目の途中から記憶がない。
 車に乗ったのも覚えていない」と話した。
 →大量飲酒 ブラックアウト
 
 ●会社員(61)(7月2日 産経新聞)
 2日午後6時ごろ、関越自動車道で「ビールのようなものを飲んで運転してい
 る車がいる」と通報があり、高速隊員が停止させて調べたところ、呼気0.35
 mg/lが検出。「500mlの缶ビールを都内の駐車場で2本、車で走りながら1本
 飲んだ」と供述。
 →運転中の飲酒

●中学教諭(47)(7月13日 読売新聞)
 11日午後7時30分頃、子どもと一緒に飲食店に向かう途中、車線をはみ出し
 て対向の軽乗用車に衝突。呼気0.65mg/lのアルコールが検出された。
 「自宅で昼間から焼酎を飲んだ」と供述。
 →昼酒 呼気0.65mg/l

 アルコール依存症と飲酒運転については、以下のサイトを参考にしてください。

 背景にある「アルコール依存症」という病気
 http://www.ask.or.jp/ddd_alcoholism.html

 アルコール依存症の進行プロセスと予防
 http://www.ask.or.jp/ddd_process.html

 <断酒会アンケート>アルコール依存症と飲酒運転
 http://www.ask.or.jp/ddd_enquete.html


 5)「原則懲戒免職」からの転換
  
 飲酒運転した公務員を事故の有無にかかわらず「原則懲戒免職」としてい
 た全国29自治体のうち、計10府県市が処分基準を見直すか、見直しを検
 討していることが毎日新聞の調べでわかりました。

 ↓<公務員の飲酒運転>「原則懲戒免職」緩和の動き(6月27日毎日新聞)↓
 http://megalodon.jp/2010-0628-1048-02/mainichi.jp/select/today/news/
20100627k0000m040077000c.html

 ↓公務員の飲酒運転・懲戒基準 処分の重さ、悩む自治体
  (6月27日毎日新聞)↓
 http://megalodon.jp/2010-0628-0849-57/mainichi.jp/select/seiji/
news/20100627ddm003010105000c.html?link_id=RSH02
 
 06年の8月に福岡市職員の飲酒運転で幼児3人が死亡した事故をきっかけに、
 おおくの自治体が処分の厳罰化を打ち出しました。
 しかし09年以降、「過酷だ」と免職を取り消す判決が最高裁で相次いで確定
 しています。
 
 その中身を見てみると――
 自治体側が、状況はどうあろうと「飲酒運転=免職」としているのに対して、
 司法は事故の有無や飲酒量、飲んでから運転するまでの時間など、ケース
 ごとに免職の適否を判断しています。
 これが、自治体の方向転換を促しているようです。

 「原則懲戒免職」は、モラルで押さえ込もうという強硬手段。
 今、自治体に取り組んでほしいのが教育による飲酒運転防止です。

 1 まずは、職員全体にアルコールの正しい知識を広める
 2 多量飲酒をしているドライバーは、飲酒運転につながる飲酒習慣を改め
   るよう節酒の方法を援助
 3 アルコール依存症が疑われるドライバーは治療機関につなげていく
 
 職場の管理者は、以下のサイトを参考にしてください。
 
 職場の飲酒運転対策チェック(ASKHPより)
  ↓   ↓   ↓
 http://www.ask.or.jp/ddd_check.html
 
 
 6)全国酒豪マップ

 7月2日、日本経済新聞が「“酒豪”どこに多い? 全国酒豪マップの謎」
 という記事を載せています。元・筑波大学教授の原田勝二さんの調査の紹介
 で、ちょっと長いですが、おもしろい!

 「全国酒豪マップ」の謎-1 
 http://megalodon.jp/2010-0702-1036-06/www.nikkei.com/life/living/ar
ticle/g=96958A90889DE3E2E3EAE5E7E1E2E2E3E2E5E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;p=
9694E3E6E2E4E0E2E3E2E4EAE6E2

 「全国酒豪マップ」の謎-2
 http://megalodon.jp/2010-0702-1037-42/www.nikkei.com/life/living/
article/g=96958A90889DE3E2E3EAE5E7E1E2E2E3E2E5E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2
;df=2;p=9694E3E6E2E4E0E2E3E2E4EAE6E2

 「全国酒豪マップ」の謎-3
 http://megalodon.jp/2010-0702-1039-55/www.nikkei.com/life/living/
article/g=96958A90889DE3E2E3EAE5E7E1E2E2E3E2E5E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2
;df=3;p=9694E3E6E2E4E0E2E3E2E4EAE6E2

 酒豪は「東北・北海道・九州・四国に多く、近畿・中部・中国には少ない」。
 つまり近畿地方を中心に、そこから東西、南北方向に離れるほど、酒豪の比率が
 段階的に高くなる構造があるといいます。

 酒豪地域は、飲酒運転のリスクも高いということに。
 都道府県別の表がありますので、あなたの地域をチェックしてみてはいかが?

 
=============================================================★
   3.山さんコラム No.48
==============================================================

 ASK飲酒運転対策特別委員会委員長
 元・JRバス関東株式会社会長     山村陽一

 ◆節酒の恩人たち

 「あら、現場長会議は、お酒を飲まないと成り立たないんですか」
 産業医でもあるS女医のキツーイ一言。

 28年前のその日、血液検査の結果を伝えられ、「禁酒1ヵ月半」のご託宣が
 あった。
 「今月は、これから現場長会議もあるので、まったく飲まないわけにはいか
 ないのです」
 と山さんが、未練たらしく飲酒の必要性をしゃべった、とたん返ってきた
 言葉だ。もし、新潟生まれの酒好きな病院長だったら、
 「まあ、ガンマGTPの高いのは、ここの部長職の職業病みたいなものです
 な。少々飲むのも止むを得ませんね」
 と飲酒を許してくれるはずなのに……。

 こちらの内心を見透かした如く、S先生、さらにたたみかける。
 「ガンマGTPが120を超えているんですよ。保健担当の総務部長さんが、
 これでは困ります。職員への示しがつきません。是非、40以下まで下げてくだ
 さい。まだ、若いんですから1ヵ月半くらい禁酒すれば、必ず下がりますよ」

 仕方なく、その日から禁酒開始。
 現場長会議には、ビール瓶に麦茶をいれ、口元に輪ゴムをはめたものを2、3
 本用意した。特製ビールと称し、懇親会で注ぎに来る現場長に、この特製
 ビールを注いでもらった。
 注ぎあいをしなければ話がスムーズにできないのが日本の常識。みちのく
 盛岡では杯をやりとりしなければ、とても会話が成り立たない。
 そんな風土での1ヵ月半、何とか麦茶特製ビールで乗り切った。
 奮闘1ヵ月半後の判定は、お見事、ガンマGTP 36。
 現在、山さんが節酒できるのは、この体験が基礎にあるからだろう。
 第一の恩人。

 第二の恩人は山仲間で、飲み仲間だった、ふだんはおとなしい運転手。
 山では、人に親切で、気の利く、大変いい男だった。家でも、やさしい、良い
 夫であり父であった。
 職場同僚との不和、酒の上のトラブルが重なり、飲酒を抑えようとした妻と
 争うようになった。
 上司と部下というより、山の仲間として山さんの忠告は素直に聞いてくれた。
 忠告どおり、病院に入り、断酒会へも数回行った。
 だが、結局、再飲酒。離婚、暴力事件の再発で会社をやめていった。
 「酒を止める気はありません。家へ帰ったって一人。酒を飲むしかありませ
 んよ」
 よい姿勢で、きちんと両手を膝におき、まっすぐこちらを見ながら、寂しげに
 笑った。
 50歳を越えて、まもなく他界。
 努力したのに彼の退職を防げなかった事実は大きい。人によってアルコー
 ルは、相当、害をなすと、しっかり認識することができた。
 山さん自身の飲酒を見直すきっかけにもなった。

 第三の恩人は、東名高速道で飲酒運転をしたバス運転手。
 事件直後、本気で、断酒を決意した。
 酒に寛容な会社を作ったのは、この会社の設立準備段階から関係し、トッ
 プにもなった山さんの責任だ。
 家族へ、友人、同僚へ、なじみの店にも断酒を宣言した。社内に、酒なしで
 楽しむ会の設置なども試みた。
 半年の断酒で、体重減、コレステロール・中性脂肪・血圧・血糖値・ガンマ
 GTPなどの数値がすべて改善という成果を得た。体の軽さや朝のさわやかさ
 など、飲まない良さが実感できた。
 さらにスイーツの世界に目が開かれた。今までまったく無縁だった甘味の良
 さを実感。味覚の世界が倍に広がった。
 断酒を宣言したら、酒に弱い人が懇親会で話しかけてくるようになった。
 飲めない人がどんなに苦労していたかが明らかになった。自分がいかに
 酒飲みの能天気な態度でいたか、そして、それが、いかに人を傷つけるか、
 初めて気づいた。
 愚かにも、山さんは、何十年もの間、酒飲みからみた一面の世界しか見て
 いなかったことになる。

 東名高速道事件は、断酒の決意を固め、実行させてくれ、飲まない世界を
 見せてくれたばかりで無く、飲酒運転について白紙から学び直し、飲酒運転
 防止活動をライフワークにするという生き方まで与えてくれた。だから、
 この事件の運転手は、山さんの大恩人なのだ。
 彼は懲役2年の刑を受けて懲戒解雇となったが、出所後に再び飲酒運転で
 検挙され服役したと報道で知り衝撃を受けた。すでに出所しただろう。
 断酒していてくれと願うのみ。

 さて山さんの現在は、「節度ある適度な飲酒」を実践している。
 酒類・スイーツの両方とも楽しみ、ズルイ、と家族から抗議を受けること
 もある。これも、飲酒運転防止活動をライフワークにしたおかげである。


=============================================================★
  4.ASKの活動ご紹介
==============================================================

 特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)は、
 アルコール問題の予防に取り組む任意団体として1983年に設立、
 2000年にNPO法人になりました。1994年には、出版・研修の事業部
 門が(株)アスク・ヒューマン・ケアとなり、活動と事業の両面から
 予防を推進しています。

 ASKでは、「飲酒運転を防止するためには、アルコール依存症の
 早期発見・介入を視野に入れた総合的な予防対策が欠かせない」との
 認識のもと、2005年に飲酒運転対策特別委員会を発足させました。
 山村陽一委員長と今成知美ASK代表のリーダーシップのもと、被害
 者遺族・専門家・関係機関と連携しつつ、予防と再発防止の両面から
 本格的な飲酒運転防止対策に取り組んでいます。

 これまでに行なってきた活動は……

 ・被害者遺族による厳罰化署名運動や、生命のメッセージ展に協力
 ・運行管理者用テキストに「一歩踏み込んだ飲酒運転防止対策」執筆
 ・アメリカで酒気帯び運転で検挙された日本人に対して米国裁判所指
  定の教育プログラムを実施
 ・日本損保協会の「飲酒運転防止マニュアル」に執筆協力
  日本損保協会主催のシンポジウムに協賛し、全国各地で講演
 ・バス会社から運転手向けの予防プログラム「セルフケアスクール」
  を委託され、プログラムを開発
 ・「飲酒運転防止<通信スクール>」のプログラム開発
 ・職場の飲酒運転対策メルマガの発行
 ・啓発パンフ「飲酒運転 あなたは大丈夫?」制作
 ・代表今成がアメリカ・カリフォルニア州の飲酒運転再犯防止対策の
  視察、内閣府主催シンポジウムで報告
 ・国土交通省主催のシンポジウムで、山村、今成が発表
 ・今成がオーストラリア・ニューサウスウェルズ州の対策を視察
 ・国の「常習飲酒運転対策推進会議」で今成が海外視察報告
 ・「飲酒運転 懲戒処分事例の分析07・4・10」をまとめる
 ・研修用DVD「知って得する!アルコールの基礎知識」製作
 ・〔飲酒運転防止インストラクター養成講座〕を開始
  日本損害保険協会の助成で3年間に1000人の養成を目指す
 ・「飲酒運転 運転代行の落とし穴06・9~08・4」をまとめる
 ・「教職員の飲酒運転 懲戒処分事例の分析07・10~08・9」をまとめる
 ・山村が警察庁主催シンポジウムで報告
 ・内閣府、常習飲酒運転者対策についてのヒアリングで今成が報告
 ・特設サイト「職場の飲酒運転対策チェック!」を製作

 ↓詳しくは、ASKのホームページをご覧ください↓
 http://www.ask.or.jp/dontdrivedrunk.html


==============編集後記 *NEKOのつぶやき*===================
  
 梅雨明けはいつになるのか……
 溜まる洗濯物にため息をつきつつ、
 夏の日差しを待つ今日この頃でございます。
 
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

 【職場の飲酒運転対策メルマガ】50号 10.7.14
                  
 発行 特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)
    飲酒運転対策特別委員会
  
       〒103-0007 東京都中央区日本橋浜町3-16-7-7F         
       Tel 03-3249-2551 Fax 03-3249-2553             
       URL http://www.ask.or.jp/ email ask-ddd★(★を@に変えてください)a-h-c.jp
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
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ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)

Author:ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)
http://www.ask.or.jp/

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