職場の飲酒運転対策メルマガ      バックナンバー

ASK飲酒運転対策特別委員会が無料配信している「職場の飲酒運転対策メルマガ」のバックナンバーです。

44号 2010

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     【職場の飲酒運転対策メルマガ】  
                  44号 10.1.15
                   ASK飲酒運転対策特別委員会
                   http://www.ask.or.jp/
    ___________________________☆
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 飲酒運転防止への社会的意識の高まりを受けて、運輸業界をはじめ、
 さまざまな職場で、今、積極的な取組みが模索されています。
 このメルマガでは、ヒントになる事柄、役に立つ情報をお伝えして
 いきたいと思っています。

=================== このメールマガジンは ====================
 特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)内に
 設置された飲酒運転対策特別委員会が、情報提供のために発行する
 ものです。
 ASKのホームページhttp://www.ask.or.jp/からご登録いただいた方
 に、月1回、無料で配信します。
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  さあ、新しい年が始まりました。
     本年もよろしくお願いいたします。
 
━━━ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    1.インストラクター養成講座NOW!
    2.NEKOのニュースCLIP!
    3.山さんコラム No.42
    4.ASKの活動ご紹介
    5.編集後記 *NEKOのつぶやき*
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  1.インストラクター養成講座NOW!
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 飲酒運転防止インストラクターは全国に続々と誕生しています!!
 1月8日現在、インストラクターは、405名になりました。
 (うち、第2期生は117名)
 
 詳しくはこちらをご覧下さい。
  ↓   ↓   ↓
 http://www.ask.or.jp/ddd_instructor.html
 
 沖縄タイムスに、第1期インストラクターの大田房子さんの地域での活躍
 ぶりと、第2期スクーリングのようすが、大きくとりあげられました。
 「飲酒習慣の見直しを進めるプロジェクトが注目を集めている」と評価して
 くれています。

 ↓飲酒運転なくせ 企業へ出前講習 ASK認定インストラクター(12月30日 沖縄タイムス)↓
 http://megalodon.jp/2010-0102-2326-11/www.okinawatimes.co.jp/article/2009-12-30_1139

 インストラクターになるための3つのステップは、
  1.「通信スクール」の受講
  2.「スクーリング」への参加
  3.「実践報告シート」の提出
 
 この3ステップを終了して、晴れてインストラクターに認定された方
 からの声を一部ご紹介します。

 ●依存症は本人の意思の問題だと思っていたが、病気であるというこ
  とを初めて知った(京都・トラック)
 ●アルコールの体内での処理時間について、誤った認識をしている人
  が多く、翌日に飲酒運転にならないように正しい知識を伝えること
  ができた(静岡・バス)
 ●今まで付き合いで飲んでいた酒もキッパリと断れるようになった
 (長野・バス)
 ●自分自身の飲酒習慣の見直しのきっかけになるとともに、職場での
  活用に役立っている(沖縄・一般企業)
 ●実際職場で研修を実施したところ、みんなたいへん興味を持ってく
  れた(京都・トラック)
 ●飲酒による成人病のリスクを無くすことができて、精神的に楽にな
  った(東京・バス)
 
 飲酒運転防止インストラクター養成講座に対するお問い合わせも殺到中!
 第3期の受付開始は、3月10日の予定です。
 
 応募については、サイトや当メルマガのチェックをお忘れなく!! 
 ★飲酒運転防止インストラクター養成講座のページ
  ↓   ↓   ↓
 http://www.ask.or.jp/ddd_instructor.html

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  2.NEKOのニュースCLIP!
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 こんにちは、ニュースCLIP担当のNEKOです。
 
 新年明けましておめでとうございます。
 皆さん、どのようなお正月を過ごされましたか?
 ついつい食べすぎ、飲みすぎになりがちなこの季節。
 体調管理を心がけたいものですね。
 
 さて、今号の内容はこちらです。
 お時間の許すかぎり、お付き合いください。

 ※ニュースのリンクは「ウェブ魚拓http://megalodon.jp/
 を利用しています。リンクが切れて記事が読めなくなるのを防ぐためです。
 まず、記事の日付をクリックしてください。すると、
 「宜しければ上記のリンクをクリックしてください」という表示が出ます
 ので、クリックをお願いします。

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 1)2009年 飲酒運転による交通事故死者数
 2)正月明け、相次ぐプロドライバーの飲酒事件
 3) 悪質な飲酒運転の「背景」に
 4) 福岡県の依存症対策
 5)ブログで公開、甘い認識が露呈
 6)一瞬で失ったもの
7)車いす寄贈し恩返し 
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 1)2009年 飲酒運転による交通事故死者数
 
 警察庁は2009年の全国の交通事故死者数は9年連続で減少し、4914人
 (08年比241人減)と発表しました。↓
 http://www.npa.go.jp/toukei/kouki/0102_H21dead.pdf(警察庁HPより)
 
 飲酒運転に起因する事件件数は5146件(死亡事故件数264件)でした。
 飲酒運転の厳罰化などによって、悪質・危険性の高い違反に起因する事故
 の減少などが、57年ぶりに5000人を下回る結果につながりました。

 2)正月明け、相次ぐプロドライバーの飲酒事件

 タクシー、バス、トラックの飲酒がらみの事件が相次ぎました。
 プロドライバーの飲酒習慣改善は重点課題です。 

 ●タクシー運転手(56)
 4日午前7時20分頃、大分市の国道で、酒気を帯びた状態でタクシーを運転
 し、現行犯逮捕されました。呼気0.15mg/lのアルコール分が検出。
 「前日の夜に自宅で酒を飲んだ」と供述。朝の始業点呼で、飲酒検査を受けず
 に出発し、検査の担当者は出発したことに気づかなかったといいます。
 7日、警察は運転手が勤めていたタクシー会社や自宅を家宅捜索し、ウィスキー
 の瓶や乗務員の点呼簿など、およそ40点を押収しました。
 県タクシー協会では、協会加盟のタクシー会社に再発防止を求める文書を
 送る予定。今月20日には安全大会を開き酒気帯び運転の撲滅を呼びかけます。

 ↓タクシー運転手酒気帯び疑いで、会社を捜索 大分(1月7日 大分放送)↓
 http://megalodon.jp/2010-0113-1902-20/www.e-obs.com/obs-news/genko/DD01070011886.html

 ●観光バス運転手(49)
 10日午前8時50分頃、北九州市の国道で、観光バスが停車していた路線バスに
 接触、観光バスの男性運転手から呼気0.1mg/lのアルコール分が検出されました。
 酒気帯び運転の水準を下回るが、安全運転の義務を怠った疑いがあるとして、
 県警は運転手を道交法違反容疑で近く書類送検する方針です。
 運転手は「前の晩にチューハイを飲んだ」と話しています。
 勤務しているバス会社では、乗務前には市販の検知器による飲酒検査を義務付け
 ており、この運転手も検査したが異常はなかったといいます。

 ↓観光バス運転手からアルコール検出 路線バスと接触(1月10日 朝日新聞)↓
 http://megalodon.jp/2010-0113-1859-07/www.asahi.com/national/update/0110/SEB201001100027.html

 ●トラック運転手(38)
 飲酒運転ではありませんが、飲酒して車内で仮眠している間に起きた事故です。
 9日午後10時半頃、市原市二日市場の駐車場で、止まっていた大型トラックが炎上
 して、車内で仮眠中の運転手が死亡しました。車は荷台以外の部分が焼けました。
 エンジンから出火した可能性もあり、警察が死因や出火原因を調べています。
 運転手はその夜、近くの飲食店で友人らと飲酒。自分のトラックの後部座席で、
 エンジンをかけたまま仮眠していたといいます。

 ↓駐車中のトラック炎上、車内で仮眠中の運転手死亡(1月10日 産経新聞)↓
 http://megalodon.jp/2010-0113-1900-55/sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/100110/dst1001101103003-n1.htm

 3) 悪質な飲酒運転の「背景」に

 ここまで酔った状態でなぜハンドルを握る?という事例です。
  
 ●会社員男性(35)(12月17日 朝日新聞)
 午前4時10分頃、工事現場に乗用車が突っ込み作業員2人をはねた。
 2人は重体。会社員からは呼気0.5mg/lを越えるアルコールが検出。

 ●アルバイト店員女性(22)(12月19日 産経新聞)
 早朝6時20分頃、コンビニの出入り口付近のガラス戸に車で突っ込む。
 呼気0.55mg/lのアルコールが検出。
 
 ●無職男性(54)(12月26日 毎日新聞)
 25日未明、パトカーの追尾を振り切り自損事故を起こし死亡。
 血液から検出したアルコールは呼気に換算すると0.75mg/l。
 
 ●自称会社員男性(35)(1月12日 読売新聞)
 午前6時頃、徐行速度で走る車を不審に思った後続車の男性が、
 車を降り、走って追いかけると、男性が運転席でうつむいていたため、 
 ドアを開けて車に乗り込み、サイドブレーキをかけて停車させた。
 足がアクセルから離れていたという。呼気0.72mg/lが検出。
 
 飲酒運転防止のためにも、「背景」にあるアルコール依存症の早期発見・
 治療を進めなければなりません。 
 
 背景にある「アルコール依存症」という病気(アスクHPより) 
 → http://www.ask.or.jp/ddd_alcoholism.html
 
 4) 福岡県の依存症対策

 2006年の3児死亡事故の地元であり、その後も職員の飲酒運転が相次いだ
 福岡県では、今、アルコール依存症にスポットライトが当たっています。

 ●福岡県警による調査
 福岡県警の最新の調査で、飲酒運転で摘発されたドライバーの4人に1人
 にアルコール依存症の疑いがあることが分かりました。
 一般ドライバーに比べて、依存症が疑われる割合はおよそ4倍。

 ↓飲酒運転の摘発者4人に1人依存症疑い 福岡県警400人調査(12月25日 西日本新聞)↓ 
 http://megalodon.jp/2010-0112-1743-11/www.nishinippon.co.jp/nnp/item/142877

 専門家の多くが、飲酒運転が絶えない背景に依存症の存在を指摘していて
 今回の調査でもそれが裏付けられました。
 本格的な違反者向けプログラムが日本にも必要です。

 アメリカ・カリフォルニア州のプログラム
 → http://www.ask.or.jp/ddd_california.html

 オーストラリア・ニューサウスウェルズ州のプログラム
 → http://www.ask.or.jp/ddd_sydney.html

 ●福岡県の職員対策
 福岡県が職員の飲酒状況の調査に踏み込みました。
 1.知事部局の職員8200人に依存症かどうかを自覚させる自己診断書を配布
 2.依存症の治療経験者や過去に飲酒で業務に支障があった職員については
   各所属長が1月中旬までに飲酒傾向などを聞き取り調査。
   必要なら保健指導や専門委の治療を勧める。
 
 ↓職員の飲酒状況 福岡県が調査へ 依存症対策(12月24日 西日本新聞)↓
 http://megalodon.jp/2010-0112-1746-06/www.nishinippon.co.jp/nnp/item/142503
  
 全国のモデルになる対策です。依存症への偏見を助長しないよう正しい認識を
 まず広めることが肝心。地元の専門家と連携して進めていただきたいと思います。
 
 特設サイト「職場の飲酒運転対策チェック!」
 → http://www.ask.or.jp/ddd_check.html

 5)ブログで公開、甘い認識が露呈
 
 飲酒運転を面白おかしくブログで告白する風潮に批判の声があがっています。

 会員制サイトmixi(ミクシィ)に「呑んでたから、普通に飲酒運転しちゃった
 し?」などと、高校生が書き込み、外部から指摘を受けた高校が、その男子
 生徒から事情聴取するという事態に発展しました。
 
 ↓飲酒、喫煙自慢続々 問題書き込み453件(12月18日 産経新聞)↓
 http://megalodon.jp/2010-0112-1800-05/sankei.jp.msn.com/region/kanto/saitama/091218/stm0912180001000-n1.htm
 
 他にもあります。
 「まあ、楽しかったし、キムチ鍋旨かったし、ビールも飲んだし、飲酒運転
 で帰ってきちゃいました。え? …なんで泊まらなかったか? これから
 バイトなんす。まあ、酒はほぼ抜けてるやろうから問題ないと思う。俺は吸収
 速度が速いらしいから笑 」といった書き込みや、
 
 ↓相次ぐインターネットで飲酒運転告白(12月20日 サーチナ)↓
 http://megalodon.jp/2009-1221-1118-11/news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=1220&f=national_1220_022.shtml

 自動車メーカーの社員の、「今日は泊まりの忘年会、泊まりと言うことで
 飲み過ぎちゃった。うぇ~きもち悪い。二次会まだおわんね~よ。このペース
 だと朝になっちゃう。まてまて。朝まで飲んでたら泊まりの意味ね~じゃん。
 バリバリ飲酒運転で帰る事に」という書き込みも。

 ↓大手自動車メーカーのスタッフが飲酒運転をmixiで告白(12月21日 サーチナ)↓
 http://megalodon.jp/2009-1221-1120-06/news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=1221&f=national_1221_001.shtml

 告白が、本当か嘘かはわかりません。
 しかし、飲酒運転に対する認識の甘さや、根絶には程遠い社会の実態が露呈
 されていることは確かです。
 
 こんな、呆れる事件もありました。 

 午前1時30分、乗用車と軽乗用車が出合い頭に衝突。
 近くの住民の通報で警察署員が駆けつけ、事故処理をしていると、
 乗用車を運転していた男がなんと缶ビールを飲み始め、飲酒検知を拒否。
 証拠隠滅のおそれがあると、現行犯逮捕されました。
 男は飲酒運転について、「事故後に飲んだだけ」と否認しているとか。

 ↓飲酒運転隠し?事故処理中、警官の前でビール飲む(1月12日 読売新聞)↓
 http://megalodon.jp/2010-0114-0050-40/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100112-00000519-yom-soci

 言語道断です。


 6)一瞬で失ったもの

 これは、胸に迫る記事です。

 ↓1年をふり返って 一瞬で失ったもの/長野(12月26日 毎日新聞) 
 http://megalodon.jp/2010-0113-1914-53/mainichi.jp/area/nagano/note/news/20091226ddlk20070032000c.html

 飲酒運転で懲戒免職となった30代の元男性教諭への取材記事。
 「どうやって死のうかと思った」
 元教諭は事故の衝撃で我に返って、真っ先にこう思ったといいます。
 ハローワークに通い、派遣社員として登録しているが、貯蓄も残り少ない。
 免許取り消しも就職の大きな障害になっていると。

 一瞬ですべてを失ってしまう恐ろしさを、いったい何人の人が経験した
 のでしょうか。
 
 7)車いす寄贈し恩返し
 
 交通事故で障害を負った男性が、全国障害者スポーツ大会で優勝した記念に、
 地元の富田林市へ車いすを寄贈しました。

 男性は自動車教習所の指導員。
 10年前、飲酒運転の車にひかれ、全身骨折の大けがを負いました。
 職場復帰までの1年7か月の入院生活中、懸命にリハビリ。 
 右下肢に機能障害が残り、リハビリのため、砲丸投げと円盤投げの練習を
 始めたのです。
 ところが、「練習会場に行くまでの道が怖い」。
 事故によるPTSD(心的外傷ストレス障害)を発症してしまいました。
 会社の同僚らが休日をやりくりして送迎、スポーツ施設のオーナーが練習場所
 を提供してサポート。
 「皆の応援があってこそ。今後も大きな大会で優勝するごとに車いすを寄贈し、
 恩返ししたい」 
 男性は2012年にロンドンで開かれるパラリンピックへの出場を目指しています。

 ↓車いす寄贈し恩返し 全国障害者スポーツ大会で優勝した岡部和人さん(1月7日 産経新聞)↓
 http://megalodon.jp/2010-0112-2156-56/www.sankei-kansai.com/2010/01/07/20100107-019020.php

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   3.山さんコラム No.42
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 ASK飲酒運転対策特別委員会委員長
 元・JRバス関東株式会社会長     山村陽一

 ◆落語の教え

 明けましておめでとうございます。
 寅年最初のコラムなので、落語に登場する「トラ」(酔っぱらい)の話を。

 昭和の落語の名人、古今亭志ん生は無類の酒好き。
 「枡の角に波の花をちょっとのせて、キューと飲む。実に「いき」だって
 んで、それをみていた弟子達はみんな、真打になったら、ああやって飲み
 たいものだといってました。そうやって真似した兄弟子は、もう、みんな
 死んでしまいましたけれども……」
 確か、鈴々舎馬風が、あるとき枕に使っていた。
 こういう酒の飲み方は危ないと、押し付けでなく、さらりと教えるいい
 小話だ。

 落語には酒を題材にしたものが多い。
 以前の山さんは、ただ滑稽さに笑い、うまそうに飲む演技に感心していた
 が、アルコール関連問題の理解が深まると、こうした酒の話に含まれる
 教訓的なものが見えてきた。

 代表的な古典落語「素人鰻」には、腕がたつが酒乱の職人・金さんが登場
 する。
 元旗本の旦那への恩返しをするため禁酒を決意し、旦那の開業した鰻屋で
 働きはじめたこの職人。そこへ旦那の友人が開業祝いに訪れ、金さんが
 断酒した話を聞いて感心する。
 「酒を断って? そうか酒を断ってやってくれれば貴公の家ではたちまち
 金蔵が立つぞ。まず、あんな職人はないな。きょうは開業式か。うん、
 あいつに一杯飲ましてやれ、いやきょうだけは飲ましてやれ、職人だ、
 開業式であるからきめて飲まそう、湯飲みに3杯くらいはよかろう」
 はじめは辞退した金さん、再度の勧めに1杯をあっという間に飲み干す。
 2杯、酒の評価と禁酒の辛さを話して飲み干す。
 3杯入ると酒のうえでの失敗談をしゃべりながら飲み、飲み干すと、だん
 だん酒乱を呈す。
 この移り変わりを桂文楽は見事に噺し演じる。
 結局、酔って騒ぎを起こし旦那と喧嘩、飛び出したまま翌日も戻らない。
 またしくじる。

 酒で何度も失敗し、周囲も酒乱による多くの失敗を知っているのに、助け
 たり、本人の反省を真に受けたりする。そして、せっかく断酒したのに、
 つい飲ましてしまい、台無しに。
 ――現代にもある深刻な話だ。「素人鰻」はご一新後の東京風俗の中に、
 この問題点を活写している。

 「素人鰻」では、アルコール問題が未解決のままだが、暮から正月に良く
 かかる古典落語「芝浜」は、3年断酒した人が、大晦日にアワヤ再飲酒……
 となるところを踏みとどまるという成功談だ。

 腕はいいが酒飲みのため怠け癖がある魚屋の魚勝。
 どんちゃん騒ぎをして酔っ払い眠ってしまった翌朝、女房の話と態度で
 48両入りの財布を拾ったことは夢だったと思い込む。きっぱり断酒を継続
 して3年間、一生懸命働く。そうして、裏店にすむ行商の魚屋が、表通り
 へ小さいながら気の利いた店を出せるまでになる。
 その年の大晦日、女房が、実は、といって経緯を語り、だましたことを謝
 って、好きな酒をすすめる。
 「こうやって若い衆のふたりも三人もいるんだし、いつお前さんが酒を飲
 んだってお得意様にご不自由をお掛け申すようなことはないと思ってね、
 もう今夜からはお前さんにお酒を飲んでもらってもいいなアと思ってさ、
 好きなものも二品三品こしらえて、お酒も、ほら、もう、ついてるんだよ」
 魚勝が答える。
 「ありがてえなおッかアッ、そうか、いいのかほんとに飲んでも、え?……
 そうか、おうおうやっぱし茶碗のほうがいいや、久しぶりだ、猪口なんぞ
 ちびちび飲んじゃいられねや……どうでえいい色だな、え? ぷうんとに
 おいやアがる、ありがてえな……ほんとに飲んでいいんだな? ありがて
 えありがてえ、たまらねえや(と、じっとみながら茶碗を口もとまで持っ
 ていって)あッ、よそう(と、あわてて茶碗を下へ置き)また夢になると
 いけねえ」

 「落ち」が断酒の継続を明確にしめしている。
 落語はここが「いのち」で効果大である。

 江戸から明治にかけての大きな社会変動の中で、大衆芸能は、義理人情や
 日常的な処世訓などを織り込んだ、すこぶる健全な娯楽を提供していた。
 人々は、笑いながら、涙をながしながら、楽しみながら、日常道徳や社会
 ルール、健康上の注意など知らず知らず刷り込まれていた。
 ひるがえって現代の娯楽の最たるTVを見ると、朝ドラには、悩んで飲み
 へべれけになった若い女性、ビールを飲みながら相談事をする女性、乾杯
 シーンから始まる祝いや歓送会が連日登場、コマーシャルでは若い女性が
 真昼間から酒を飲むシーンの連発。
 TVは飲酒をすすめるものばかり。
 子どもから老人まで知らず知らず多量飲酒や昼酒があたりまえと思うよう
 な刷り込みがなされる。
 NHK、民放とも反省して欲しい。
 アルコール飲料のコマーシャルは、世界に類を見ないほどの野放し状態だ
 が、法的規制でなく自主規制でいくというなら、各メーカーともよくよく
 社会の状況を見渡して考えてほしい。
 そして、脚本家よ、コマーシャル作家達よ、最も検閲を嫌う自由人よ。
 すすんで酒の害を知れ。押し付けで無く酒の害を知らしめよ。法律で規制
 される前に。

 伝統芸能には、酒はうまく付き合わないと危険な飲み物だという教えがた
 くさん含まれている。
 周囲がどう取り組むべきか、どうしたらいけないかも教えている。大いに
 参考にしたい。
 ただ、こうした教えが含まれるのに気づかぬことも多いから、時には、
 これらを、きちんと見抜き、詳しく解説するのもアルコール関連問題防止
 に大切ではなかろううか。

 落語の引用文献:安藤鶴夫「わが落語鑑賞」筑摩書房 1966年。
 これ名著。


=============================================================★
  4.ASKの活動ご紹介
==============================================================

 特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)は、
 アルコール問題の予防に取り組む任意団体として1983年に設立、
 2000年にNPO法人になりました。1994年には、出版・研修の事業部
 門が(株)アスク・ヒューマン・ケアとなり、活動と事業の両面から
 予防を推進しています。

 ASKでは、「飲酒運転を防止するためには、アルコール依存症の
 早期発見・介入を視野に入れた総合的な予防対策が欠かせない」との
 認識のもと、2005年に飲酒運転対策特別委員会を発足させました。
 山村陽一委員長と今成知美ASK代表のリーダーシップのもと、被害
 者遺族・専門家・関係機関と連携しつつ、予防と再発防止の両面から
 本格的な飲酒運転防止対策に取り組んでいます。

 これまでに行なってきた活動は……

 ・被害者遺族による厳罰化署名運動や、生命のメッセージ展に協力
 ・運行管理者用テキストに「一歩踏み込んだ飲酒運転防止対策」執筆
 ・アメリカで酒気帯び運転で検挙された日本人に対して米国裁判所指
  定の教育プログラムを実施
 ・日本損保協会の「飲酒運転防止マニュアル」に執筆協力
  日本損保協会主催のシンポジウムに協賛し、全国各地で講演
 ・バス会社から運転手向けの予防プログラム「セルフケアスクール」
  を委託され、プログラムを開発
 ・「飲酒運転防止<通信スクール>」のプログラム開発
 ・職場の飲酒運転対策メルマガの発行
 ・啓発パンフ「飲酒運転 あなたは大丈夫?」制作
 ・代表今成がアメリカ・カリフォルニア州の飲酒運転再犯防止対策の
  視察、内閣府主催シンポジウムで報告
 ・国土交通省主催のシンポジウムで、山村、今成が発表
 ・今成がオーストラリア・ニューサウスウェルズ州の対策を視察
 ・国の「常習飲酒運転対策推進会議」で今成が海外視察報告
 ・「飲酒運転 懲戒処分事例の分析07・4・10」をまとめる
 ・研修用DVD「知って得する!アルコールの基礎知識」製作
 ・〔飲酒運転防止インストラクター養成講座〕を開始
  日本損害保険協会の助成で3年間に1000人の養成を目指す
 ・「飲酒運転 運転代行の落とし穴06・9~08・4」をまとめる
 ・「教職員の飲酒運転 懲戒処分事例の分析07・10~08・9」をまとめる
 ・山村が警察庁主催シンポジウムで報告
 ・内閣府、常習飲酒運転者対策についてのヒアリングで今成が報告
 ・特設サイト「職場の飲酒運転対策チェック!」を製作

 ↓詳しくは、ASKのホームページをご覧ください↓
 http://www.ask.or.jp/dontdrivedrunk.html

==============編集後記 *NEKOのつぶやき*===================
 
 冬休み。母の実家に帰りました。
 年末年始は、普段ハンドルを握らない人も車に乗っているようで、
 高速を走ると、立ち往生している車も見かけました。
 事故車も多く、身が引き締まる思いでした。
 
 新年を迎え、気持ちも新たに飲酒運転防止に取り組んでいきましょう。 

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

 【職場の飲酒運転対策メルマガ】44号 10.1.15
                  
 発行 特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)
    飲酒運転対策特別委員会
  
       〒103-0007 東京都中央区日本橋浜町3-16-7-7F         
       Tel 03-3249-2551 Fax 03-3249-2553             
       URL http://www.ask.or.jp/ email ask-ddd★(★を@に変えて下さい)a-h-c.jp
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

 ◆ 配信停止はこちらから ◆
 https://m1.mail-do.com/sv10/s10a9456/ddd_mail_cancel.html


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ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)

Author:ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)
http://www.ask.or.jp/

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