職場の飲酒運転対策メルマガ      バックナンバー

ASK飲酒運転対策特別委員会が無料配信している「職場の飲酒運転対策メルマガ」のバックナンバーです。

121号2016

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 ☆ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     【職場の飲酒運転対策メルマガ】  
                  121号 16.6.16
                   ASK飲酒運転対策特別委員会
                   http://www.ask.or.jp/
    ___________________________☆
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 飲酒運転防止への社会的意識の高まりを受けて、運輸業界をはじめ、
 多くの職場で、今、積極的な取組みが模索されています。このメル
 マガでは、ヒントになる事柄、役に立つ情報をお伝えしていきます。

━━━ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    1.インストラクター養成講座NOW!
    2.ASKからのお知らせ
    3.ニュースCLIP!
    4.山さんコラム No.119
    5.ASKの活動ご紹介
    6.編集後記 *つぶやき*

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  ・寝つけず朝ビール
    ・気づいたらパトカーの中
      ・自宅手前で代行業者を帰して自ら運転
            ――ニュースクリップをどうぞ!

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  1.インストラクター養成講座NOW!
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●第9期飲酒運転防止インストラクター養成講座

応募多数のためお申込み受付を終了しました。
  ↓ ↓ ↓
http://c.bme.jp/13/297/1524/1916

当養成講座についてのお問い合わせはASKへ(電話03-3249-2551)


さて今回は、一般企業や依存症の医療機関の方々の応募の声をご紹介します。

◎社内で飲酒運転での検挙が発生しました。またアルコール摂取がからんだ
 心の病も発生していることから今回応募しました。(企業)

◎意外と知らなかったり誤解しているアルコールに対する知識を身につけ、
 危険を取り除きたいため。(企業)

◎依存症治療専門病棟を有している病院で働いている相談員です。「アルコ
 ール依存症」という病気の存在については社会に浸透しつつありますが、
 「アルコール関連問題」についてはまだまだ広がっていないと思います。
 一般市民へ向けて広く啓発活動をしていきたいと考えています。(医療)

◎依存症の治療病棟で働いてきて、自分でも何かできないか?と思うように
 なった。(医療)


全国で開催するスクーリングは、異業種交流でもあります。
お楽しみに!

……………………………………………………
上級インストラクターのお申込み受付中です。
認定インストラクターの方、どうぞ挑戦してください。
詳しくは以下のサイトを。
  ↓ ↓ ↓
http://c.bme.jp/13/297/1525/1916


●自動車教習所で新たな啓発

三井ダイレクト損害保険「ムジコロジー・スマイル基金」からいただいた
寄付を使って、飲酒運転防止上級インストラクターがいる自動車教習所10ヵ
所に、啓発資材を送付しました。若者への啓発を強化するためです。

広島の東洋自動車学校・高橋さんからいただいたお便りをご紹介します。
        *  *  *
階段の踊り場の「飲酒啓発コーナー」にバナーとパネルを設置しました。
階段は教習生が必ず通る場所なので、よく目立っています。
時々立ち止まって見ている教習生がいるので、簡単に説明したりしています。
また、ロビーの待合に立てたのぼりを見て「何ののぼり?」と興味をもって
聞いてくる人も。啓発グッズが、話すきっかけになっています。
学科教習の中でも、「飲酒啓発コーナー」を取り上げたり、卒業時には
「1単位カード」を手渡して内容の説明をしています。
これから飲酒社会の仲間入りをする年齢ですので、この問題に関心を持って
いただきたいです。

写真は「ムジコロジー・スマイル基金」のFacebookページでどうぞ。
  ↓ ↓ ↓
http://c.bme.jp/13/297/1526/1916


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  2.ASKからのお知らせ
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●アルコール健康障害対策推進基本計画が閣議決定!

基本法施行から満2年に当たる5月31日、国の基本計画がついに閣議決定
されました。

計画の全文は、内閣府のサイトからダウンロードできます。
 ↓ ↓ ↓
http://c.bme.jp/13/297/1527/1916

飲酒運転に関係する施策は、以下の箇所に出てきます。

「重点課題」
2(3)アルコール健康障害を有している者とその家族を、相談、治療、
回復支援につなぐための連携体制の推進

「基本的施策」
1.教育の振興等
(1)学校教育 4「自動車教習所における周知」
(3)職場教育の推進
(4)広報・啓発の推進
5.アルコール健康障害に関連して飲酒運転等をした者に対する指導等
(1)飲酒運転をした者に対する指導等

「職場教育」の項は、飲酒運転防止インストラクターの活動そのままです!
ぜひ、お読みください!


●「アルコールの1単位カード」を社員に配布したら……

今回は、千葉県にある運送会社の方にお話を伺いました。

――「1単位カード」の購入理由を教えてください。

社内の安全運転講習会で配布するためです。

――反響はどうでしたか?

「具体的に何をどのくらい飲んだら、分解にどのくらいかかるかが一目で
わかるのが助かる」という声がありました。
「え?お酒の分解にこんなに時間がかかるの?」とか「一晩寝れば分解され
ると思っていた。今後気をつけなければ……」と驚く人も。

普段の講習会でも資料は配るのですが、講習後に資料をゴミ箱に捨てる社員
が多いのです。でも1単位カードは、ほとんどの社員がお財布に入れて持ち
帰っていました。
次はジェルパッチを購入して、より興味深い講習会にしようと思います。

――携帯することを考えて名刺サイズにしたのですが、実際にこういうお話
  を聞くととてもうれしいです。


★アルコールの1単位カード 
 すべての人に、せめてこの目安だけは知ってほしい!
 「アルコールの1単位」がイラストで表示された名刺サイズのカードです。
  ↓ ↓ ↓  
 http://c.bme.jp/13/297/1528/1916

★ASKアルコール体質判定セット「かんたんジェルパッチ」
 自分の体質と、体質ごとのアドバイスを知ろう!
  ↓ ↓ ↓
 http://c.bme.jp/13/297/1529/1916

 
★その他、職場の飲酒運転対策に最適の教材・予防ツール

◆トイレットペーパー「飲酒運転防止(7つの落とし穴)」
 マンガで予防知識を! 話題づくりにも!
 http://c.bme.jp/13/297/1530/1916

◆トイレットペーパー「危険ドラッグにNO!」
 薬物乱用防止について伝えたい6つのこと!
 http://c.bme.jp/13/297/1531/1916

◆DVD&ハンドブック「知って得する!アルコールの基礎知識」
 定番中の定番。これを知らないと飲酒運転は防げません!
http://c.bme.jp/13/297/1532/1916

◆ASKリバーシブル予防パンフ
 知恵と工夫が詰まったカラフルなパンフ、4種類
 http://c.bme.jp/13/297/1533/1916

◆飲酒運転防止研修<e-ラーニング>
 「15分で学べる必須のアルコール知識」
 *ANAとJTにカスタマイズ版が採用されています!*
 http://c.bme.jp/13/297/1534/1916 

◆ASKアルコール通信講座
 依存症への対応がしっかり学べます
 http://c.bme.jp/13/297/1535/1916


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  3.ニュースCLIP!
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6月半ばというのに、梅雨はどこへ行ったのでしょう。
関東では取水制限も始まったようです。

このコーナーは、友井と今成の共同作業でお届けしています。
お時間の許すかぎり、おつきあいください。

Facebookページ「ASK飲酒運転防止プロジェクト」でも日々、ニュース
のシェアを行なっています。どうぞご覧ください。
  ↓ ↓ ↓
http://c.bme.jp/13/297/1536/1916

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 1)教頭が、寝つけず朝ビール
 2)「仮眠を取ったので大丈夫と思い運転した」
 3)代行で帰宅したのに
 4)運動会で飲んだ保護者が……
 5)若者と高齢者の二極化、再び

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1)教頭が、寝つけず朝ビール

札幌市の50代の小学教頭が、6月6日午前5時50分頃、酒気帯び運転で逮捕さ
れました。出勤途中、不自然にウインカーを点灯させていたため、署員に
停車させられたのです。
「寝つけずに、午前3時ぐらいに350ml入りの缶ビールを3缶飲んだ」と供述
しています。

◎寝つけず朝ビール、酒気帯び運転容疑 札幌の小学校教頭逮捕
(6月6日 北海道新聞)

引っかかるポイントは以下です。
・不眠あるいは中途覚醒があったこと
・寝酒として1000ml以上のビール
このパターン、アルコール依存症の疑いもありそうです。

アルコールは自然な眠りを壊します。
レム睡眠や、ノンレム睡眠の深い眠りが減るなど質が下がるだけでなく、
「中途覚醒」も起きます。そのため、寝入ろうとして再度飲酒することにな
り、アルコール依存が進行、という事態も。
睡眠中はアルコールの分解が遅れることもお忘れなく。

★<手記>始まりは寝酒だった―依存症から回復した運転手(ASK)
   ↓ ↓ ↓
 http://c.bme.jp/13/297/1537/1916


小学教頭といえば、宮崎県都城市でも逮捕されています。
やはり50代でした。

◎「気づいたらパトカーに」…小学教頭が飲酒運転(6月3日 読売新聞)

6月1日午後8時半から10時半まで、学校関係者ら約10人による居酒屋での懇親
会に出席。ビールや焼酎を飲んだ後、1人で飲食店へ。
翌午前2時頃、市内の駐車場で他の車に接触して酒気帯び発覚。
「午後11時半頃まで店にいたのを覚えているが、気づいたらパトカーの中
だった」と話しているとか……。

飲みすぎですね。


2)「仮眠を取ったので大丈夫と思い運転した」

福島県では、40代の町職員が摘発されました。

◎会津美里町職員が酒気帯び運転疑い 仮眠を取った後に運転
 (6月14日 福島民友ニュース)

6月10日午後7時頃から飲酒し、午後10時頃に運転代行を頼もうとしましたが、
時間がかかると言われたためキャンセル。
駐車場に止めた車内で仮眠を取った後、翌午前0時頃に自宅に向かい、飲酒
検問で酒気帯びが発覚しました。
職員は、1店目で生ビール2杯、日本酒を杯で5~6杯、2店目でカクテルを2杯
程度飲んでいたとのこと。

2時間の仮眠で抜ける量ではありません。
職場教育が必要です。


3)代行で帰宅したのに

福岡の銀行役員(58)が、飲酒運転をしていたことがわかりました。

◎飲酒運転 筑邦銀役員が団体会合の帰り/福岡(6月12日 毎日新聞)

役員は5月25日夜、経済団体の会合に出席し、ビールを2、3杯を飲んだ後、
代行運転で帰宅しました。
ところが「車庫入れを失敗されたら困る」と、自宅の約200m手前で業者を
帰して自ら運転。
そのときに路上駐車の乗用車の持ち主から接触したと言われ、修理代を払
う念書を書いたけれど、その後、支払いを巡ってトラブルに……。

代行運転、意外と落とし穴が多いのです。
お気をつけください。

★〈飲酒運転〉運転代行の落とし穴(ASK)
   ↓ ↓ ↓
 http://c.bme.jp/13/297/1538/1916


4)運動会で飲んだ保護者が……

砂川市内の学校の運動会で飲酒した保護者が、終了後に自動車に乗り込み
そのまま走り去る……そんな様子が6月1日、フジテレビ系列の「とくダネ!」
で放送されました。

◎「とくダネ!」が飲酒運転の現場を押さえる 運転手を問いつめ通報 
 (6月1日 Livedoor NEWS)

運動会での「酒盛り」は午前9時から午後1時まで4時間続き、飲酒した2人の
男性がそれぞれ自動車に乗り込み走り出しました。

追いかけた取材班が、同市の暴走事故を持ち出し罪の意識をたずねると、
「人ごとではないと思うけど」と返答。記者が警察への出頭を呼びかけるも、
「うーん…いや…」と歯切れの悪いようす。
結局、記者が通報し、警察ではナンバーから男性を特定して、任意で事情を
聞くなどの捜査を進めているとのことです。

この報道のあと、砂川市の教育委員会は「学校行事の会場での飲酒と喫煙を
禁止する」との通知を、市内の小中学校の保護者に配布しました。

◎砂川市教委 学校行事の会場で飲酒と喫煙禁止 
 「運動会で飲んで保護者運転」(6月8日 毎日新聞)

市教委は「次年度(2017年度)に向けた懸案事項だったが、緊急に校長会を
開いて禁止を前倒しした」と説明しています。


5)若者と高齢者の二極化、再び

前号に続き、今回も20代以下と60代以上の飲酒事故が数多くありました。

――まずは20代以下の事件から。

●27歳男性 無職【車と衝突】愛知県(5月16日 メ~テレ)
5月16日午前5時頃、信号交差点で車に衝突する事故を起こし、重傷を負わす。
「どこで酒を飲んだか覚えていない」と話している。

●24歳男性 アルバイト【死亡ひき逃げ】京都府(5月17日 京都新聞)
5月17日午前1時25分頃、道路脇を歩いていた会社員をはね、死亡させた。
軽乗用車は現場から逃走。数分後に戻り、運転していたアルバイトの男(24)
の呼気から基準を超えるアルコールが検出された。

●20歳男性 消防士【脱輪】佐賀県(5月25日 佐賀新聞)
5月24日午前3時頃、自家用車を脱輪させた。基準値以上のアルコールが検出。
友人を送る途中の事故だった。

●26歳男性 介護士【信号機に衝突】埼玉県(5月31日 埼玉新聞)
5月31日午前0時35分頃頃、交差点の信号柱に衝突、2人の女性がけがをした。
呼気0.7mg/lのアルコールが検出。

●28歳男性 職業不詳【車止めに衝突】埼玉県(6月5日 埼玉新聞)
6月4日午前4時40分頃、軽自動車を運転し車両止めの鉄柵ポールに衝突した。
呼気0.5mg/lのアルコール分が検出。

●21歳女性 米海軍所属【逆走・衝突事故】沖縄県(6月4日 朝日新聞)
6月4日午後11時40分頃、対向車線を逆走、車2台に衝突し、男女2人に重軽傷
を負わせた。呼気から基準値の約6倍のアルコールを検出。
同僚で「テキーラと酎ハイ数種類を飲んだ」と供述している。

●19歳男性 消防士【自転車に接触事故】千葉県(6月8日 毎日新聞)
6月6日午後11時35分頃、飲酒運転で自転車に接触し、男性にけがをさせた。
「友人と居酒屋でビールやレモンサワーなどを飲んだ」と容疑を認めている。

――続いて60代以上。

●60歳男性 飲食店経営【死亡事故】福島県(5月24日 福島民友)
5月23日午前9時10分頃、ワゴン車を酒気帯び状態で運転し、軽トラックに追
突し男性を死亡させた。

●72歳男性 農業【衝突事故】佐賀県(5月27日 佐賀新聞)
5月26日午後6時10分頃、道路脇から国道へ出ようとして、2トントラックに
衝突した。呼気0.45mg/lのアルコールを検出。

●60歳男性 会社員【衝突事故】佐賀県(5月29日 佐賀新聞)
5月27日午後5時30分頃、赤信号で停車中の軽ワゴン車に追突。呼気0.25mg/l
以上のアルコールを検出した。

●66歳男性 居酒屋経営【物件事故】栃木県(5月29日 佐賀新聞)
5月29日午後9時15分頃、酒気を帯びて乗用車を運転し、物件事故を起こした。

●65歳男性【住居など2棟に突っ込む】新潟県 (6月1日 テレビ新潟)
6月1日午前2時前、酒気帯び運転で民家など2棟に突っ込み、現行犯逮捕。

●62歳男性 JA常務理事【中央分離帯に衝突】兵庫県(6月10日 神戸NEXT)
6月9日午後9時50分頃、高速の中央分離帯に衝突。「居酒屋で、1人でビール
2杯とワイン1杯を飲んだ」と容疑を認めている。

●70歳男性【無免許】三重県(6月10日 伊賀タウン情報ユー)
6月9日午後5時30分頃、2010年に運転免許が取消されていたにもかかわらず、
酒を飲んだ状態で軽トラックを運転。「気晴らしに酒を飲んでドライブしよ
うと思った」と供述。

●71歳男性【高速道路逆走無免許】福岡県(6月11日 毎日新聞)
6月11日午前1時10分頃、高速道路を逆走し現行犯逮捕。基準値の3~4倍の
アルコールが検出された。正面衝突する寸前で停止しけが人はなかったが、
警察が誘導するまで、路肩でなく追い越し車線上に停車していた。

●71歳男性【死亡ひき逃げ】千葉県(6月15日 日本テレビ)
6月14日午後9時頃、酒に酔った状態で車を運転し会社員をはねて逃走。会社
員は頭を強く打って搬送先の病院で死亡した。現場に落ちていた車のナン
バープレートから容疑者を特定。呼気から基準値超のアルコールが検出され、
飲酒運転ではねたことは認めたが、「当時は物だと思ったので止まらずに
帰宅してしまった」と供述している。

――高齢+アルコール+車の組み合わせも、若者に劣らず危険です。
加齢により、運転時に必要な能力が低下するところに、さらにアルコールで
脳を麻痺させるのですから。


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   4.山さんコラム No.119
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ASK飲酒運転対策特別委員会委員長
元・JRバス関東株式会社会長     山村陽一

◆酒で罪を犯すな

学生時代、座禅をするクラブに入っていた。
数年ぶりのクラブOB会で、山さんは、飲酒運転防止インストラクターの
養成について述べた。
そして、今、大事だと思う仏教の言葉は、「諸悪莫作、衆善奉行」であると
言ったところ、すかさず、仏教学を教えていた大学名誉教授から「悪とは何
か、善とは何か。これが難しいんだぞ」と問われた。
ここで解説しておくと、上記の言葉は、釈迦を含めた七仏共通の教え、すな
わち「七仏通誡(しちぶつつうかい)の偈(げ)」と呼ばれるもののひとつ。
「もろもろの悪をなすことなく、もろもろの善を行なえ」、すなわち平たく
言えば「悪いことをせずに、いいことをしなさい」という、一見とてもシン
プルな話だ。山さんにとっては飲酒運転防止の活動こそが、悪をなさずに善
を行なうことにつながるという意味をこめようとしていたのだが、そもそも
「悪いこと」「よいこと」とは何か、というのが名誉教授の問いである。

即座に答えられず、「最後まで聞いてください」と、かわしたものの、気に
なって心に残った。
数日後、朝の散歩をしながら考えをまとめてメールした。
その内容を、今回のコラムのテーマにしようと思う。

「未熟ゆえ、即答はかないませんでしたが、今朝、散歩しながら、心に浮か
びましたので回答したいと存じます。私にとっての諸悪は『五戒』を破るこ
とです」
まずはこう書いた。

五戒とは、「不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不飲酒」である。
殺すな、盗むな、姦淫するな、うそをつくな。ここまでは誰でも抵抗はない
だろう。
「不飲酒」はなぜここに入っているのか。
おそらく、飲酒が集団の規律を乱し、修行の妨げになるので、仏教が文字通
り教団の形をとり始めた段階で、戒律に取り入れられたのだろう。
仏教がアジア各地へ広まり、時代は流れ、各地域の習俗と融合して「戒律」
は増減をくりかえし、厳密になり、あるいは緩み、さまざまに解釈され実行
された。
「不殺生」を例にとると、仏教が生活に密着して広まった地域では、厳密に
解釈して虫も殺さず、一切肉食をしない人々がいる。一方、魚は許す、卵は
良い、とする人々もいる。
日本では、仏教伝来以降、山国の民を除き、原則、四足動物の肉は食べず、
寺院生活や法事には野菜中心の精進料理が供された。
現代では、この不殺生戒は「ものは生かして使え」などと示されるほど拡大
解釈され、坊さんも肉食をしたり、法事にも生魚の鮨が並んだりする。
酒は、日本では神社や祭りで儀式に用いられていたから、かなり寛容に扱わ
れた。
禅寺にわざわざ「不許葷酒入山門」と石碑を立ててあるのは、実際は酒が寺
に入り込んでいた証拠だ。ちなみに禅寺では酒を般若湯と称す。

山さん自身、はじめて五戒を目にしたとき、「不殺生」「不偸盗」「不邪淫」
「不妄語」のあとに「不飲酒」があるのに違和感をもった。飲酒は必ずしも
悪ではない。何故、基本的戒律の五番目に置かれたのだろうかと。
飲酒運転防止活動をやってきた中で、あるとき「ハッ」と気がついた。
「飲みすぎる」と、どんなに修行を重ねた人格者も、教養があり法律を知っ
ている人物でも、飲酒運転という罪を犯してしまうことがある。
飲酒は前の「四戒」を犯させやすくする原因だ。だからこそ、五番目に置か
れたのだ。

山さんはメールに書いた。
「私は、不飲酒の戒を破り、大酒を飲むことを良しとして、公私にわたり40
年、多量飲酒を続けました。そのため、今、振り返ると、酒の害を受けやす
い友人、同僚、部下をアルコール関連の病で殺しました。飲酒に寛容な職場
風土を作り、飲酒事件を発生させ、社員を刑罰に触れさせました。
私自身も、刑罰は受けなかったものの、酔っぱらって、いたずら半分に、
盗みをしたり、覗き見をしたり、みだらな行為もしました。もちろん、嘘も、
酔えば、当然のようにつきました。つまり、多量飲酒により、素面ではしな
い四戒を破る罪を犯していたのです。これが『悪』です」

山さんは、不飲酒戒を、「なんびとも絶対に飲むな」との意味だとは解釈し
ない。
「不殺生・不偸盗・不邪淫・不妄語の四戒を犯させるような飲みすぎはやめ
よう」
そして
「体質的に飲めない人に飲ませるな」
「飲んではいけない人に飲ませるな」
「無理に飲ませるな」
だと考える。
これを実生活で守るとなると大変だ。
たとえば、宴会で酒を注ぐとき、体質的に飲めない人、医師に酒を控えるよ
う指示されている人などがいないか、一々確かめて「注ぐ」ことはしない。
気楽に「どうぞ、ぐっと空けて」などと注げば、知らず知らず罪を犯してい
ることになる。
酒好きが無邪気に飲んでいたら、山さんのように自分の健康を痛め、人の健
康をも損ない、時に殺し、罪を犯し、犯させることになる。
飲酒運転事故は、まさに、このような飲酒による地獄の典型だ。

私は、酒を愛しているので、酒の側から考えてみる。
酒は、楽しく味わってもらい良き人生に役立ちたいと願っている。
身体を害したり、罪を犯したりするような飲み方をされるのは本意でないは
ずだ。
その証拠に、酒は、身体を害す前に、二日酔いなど飲みすぎの警告を発する。
また、酒と人類との長い歴史の中で、適量が示されている。
世界共通、概ねアルコール20gくらいが標準量とされてきた。
現代医学の疫学的調査でも、この程度の量が低リスクであることが証明され
ている。

では「善」とは何か。
これまでの反省に立ち、多量飲酒のリスクを教え、飲酒習慣を改善する方法
を広く伝えることである。
「その実践の結果、一番救われているのが自分自身だとも感じています。
多量飲酒をやめられた上に、今まで意識せず犯していたかもしれない四つの
戒を犯すことがなくなり、楽しく生活していられるからです。南無酒地獄大
菩薩です。 山村陽一」


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  5.ASKの活動ご紹介
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特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)は、アル
コール問題の予防に取り組む任意団体として1983年設立、2000年にNPO
法人になりました。1994年には、出版・研修の事業部門が(株)アスク・
ヒューマン・ケアとなり、活動と事業の両面から予防を推進しています。

ASKでは、「飲酒運転を防止するためには、アルコール依存症の早期発
見・介入を視野に入れた総合的な予防対策が欠かせない」との認識のもと、
2005年に飲酒運転対策特別委員会を発足させました。
山村陽一委員長と今成知美ASK代表のリーダーシップのもと、被害者遺
族・専門家・関係機関と連携しつつ、予防と再発防止の両面から本格的な
飲酒運転防止対策に取り組んでいます。

これまでに行なってきた活動は……

・被害者遺族による厳罰化署名運動や、生命のメッセージ展に協力
・NASVAの運行管理者用テキストに「一歩踏み込んだ飲酒運転防止対策」執筆
・アメリカで酒気帯び運転で検挙された日本人に対して米国裁判所指定の
 教育プログラムを実施
・日本損保協会の「飲酒運転防止マニュアル」に執筆協力
 日本損保協会主催のシンポジウムに協賛し、全国各地で講演
・バス会社から運転手向け予防プログラム「セルフケアスクール」を委託
・「飲酒運転防止<通信スクール>」のプログラム開発
・職場の飲酒運転対策メルマガの発行
・啓発パンフ「飲酒運転 あなたは大丈夫?」制作
・アメリカ・カリフォルニア州の飲酒運転再犯防止対策の視察、
 内閣府主催シンポジウムで報告
・国土交通省主催のシンポジウムで発表
・オーストラリア・ニューサウスウェルズ州の対策を視察
・国の「常習飲酒運転対策推進会議」で海外視察報告
・「飲酒運転 懲戒処分事例の分析07・4・10」をまとめる
・研修用DVD「知って得する!アルコールの基礎知識」製作
・日本損害保険協会助成で〔飲酒運転防止インストラクター養成講座〕開始
・「飲酒運転 運転代行の落とし穴06・9~08・4」をまとめる
・「教職員の飲酒運転 懲戒処分事例の分析07・10~08・9」をまとめる
・警察庁主催シンポジウムで報告
・内閣府、常習飲酒運転者対策についてのヒアリングで報告
・特設サイト「職場の飲酒運転対策チェック!」を製作
・DVD「知って得する!アルコールの基礎知識」冊子化
・厚生労働省シンポジウムで報告
・トイレットペーパー「飲酒運転防止(7つの落とし穴)」を製作
・「警察職員による飲酒運転事例の分析07~11」をまとめる
・<e-ラーニング>「15分で学べる必須のアルコール知識」を製作
・ASKリバーシブル予防パンフを製作
・警察庁に「普通免許学科教習における飲酒運転防止教育の強化について
 の要望書」を提出
・「若者と女性の飲酒運転事例分析 12・4~13・3」をまとめる
・自動車工業会のシンポジウムで、飲酒運転防止インストラクター養成講座
 について報告
・アルコール健康障害対策基本法が成立(2013.12.7)、施行(2014.6.1)
・今成が、アルコール健康障害対策関係者会議の委員に(2014.10~2016.10)
 教育・誘引防止・飲酒運転等ワーキンググループ座長を務める(2015.3~8)
・アルコールの1単位カード、啓発用バナーやパネルを製作(2015.9)

↓詳しくは、ASKのホームページをご覧ください↓
 http://c.bme.jp/13/297/1539/1916


=================編集後記 *つぶやき*=================


ASKでは、日々、Facebookページでさまざまなニュースを情報発信してい
ます。ぜひご覧ください!

★ASK飲酒運転防止プロジェクト
 http://c.bme.jp/13/297/1540/1916
 ※飲酒運転に関する情報
 
★アスク(アルコール薬物問題全国市民協会)
 http://c.bme.jp/13/297/1541/1916
 ※幅広いアルコール、薬物問題を中心に、他の依存症についても

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 【職場の飲酒運転対策メルマガ】121号 16.6.16
                  
 発行 特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)
    飲酒運転対策特別委員会
  
       〒103-0007 東京都中央区日本橋浜町3-16-7-7F         
       Tel 03-3249-2551 Fax 03-3249-2553             
       URL http://www.ask.or.jp/ email ask-ddd★(★を@に変えてください)a-h-c.jp

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