職場の飲酒運転対策メルマガ      バックナンバー

ASK飲酒運転対策特別委員会が無料配信している「職場の飲酒運転対策メルマガ」のバックナンバーです。

120号2016

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 ☆ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     【職場の飲酒運転対策メルマガ】  
                  120号 16.5.17
                   ASK飲酒運転対策特別委員会
                   http://www.ask.or.jp/
    ___________________________☆
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 飲酒運転防止への社会的意識の高まりを受けて、運輸業界をはじめ、
 多くの職場で、今、積極的な取組みが模索されています。このメル
 マガでは、ヒントになる事柄、役に立つ情報をお伝えしていきます。

━━━ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    1.インストラクター養成講座NOW!
    2.ASKからのお知らせ
    3.ニュースCLIP!
    4.山さんコラム No.118
    5.ASKの活動ご紹介
    6.編集後記 *つぶやき*

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     若さ+飲酒+運転 
     高齢+飲酒+運転  二極化が進んでいます


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  1.インストラクター養成講座NOW!
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★第9期飲酒運転防止インストラクター養成講座、お急ぎください!

いまの状況だと、月末あたりには〆切になる感じです。
お早めに、ホームページからお申し込みください。
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第1~8期に認定されたインストラクターの総数が2813名になりました!
地区別にみると――
北海道(146)/東北(235)/関東(1024)/信越・北陸(119)/東海(294)/
近畿(467)/中国(136)/四国(80)/九州(213)/沖縄(99)

認定者からはこんな感想が寄せられています。

●自分自身の飲酒量を3単位から1単位に変えることができた!(企業)
●お酒に対する考え方が甘かったのを痛感しました。(企業)
●講話の際に参考になる知識をたくさん得られました。(警察)
●飲酒運転についての講習の幅が広がりました。(自動車教習所)
●アルコールについてさまざまな知識を学び、業務の立場上、運転士の教育、
 指導に役立っています。(バス)


上級インストラクターも49名になっています。
上級インストラクターはアルコール依存症への介入についての研鑽も深めま
す。将来のスクーリング講師候補、地域啓発の担い手でもあります。
…………………………………………
上級インストラクターのお申込みも受付中です。
認定インストラクターの方、挑戦しませんか?
詳しくは以下のサイトをご覧ください。
   ↓   ↓   ↓
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  2.ASKからのお知らせ
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●新刊のお知らせ

『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア
 ―自分を愛する力を取り戻す[心理教育]の本』

  白川美也子 著
  アスク・ヒューマン・ケア 刊

物語仕立てで、トラウマ記憶のしくみ、複雑性PTSDの症状、トラウマと嗜癖、
災害トラウマの特徴と支援に必要なこと……などをやさしく解き明かします。

amazonに登録したとたん、人気度No1になった、注目の本です!
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●季刊『Be!』123号、予約受付中!

[清原問題 緊急対談]田代まさし×月乃光司
 依存症者はクズなのか!?

特集 強みを見つける 目からウロコの【誌上講座】
 PART1 「隠れた強み」を見つけよう
 PART2 CRAFT 弱さが強みに変わるとき
 PART3 「強み」をめぐる読者の声

アルコール健康障害対策
 ・基本計画のキモはここ!
 ・ぶっちぎりの鳥取! 「推進計画」早くもスタート 他

詳しくはこちらをご覧ください。
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http://c.bme.jp/13/297/1471/1916


●1ロール丸ごと切り取られて持って行かれました!

トイレットペーパー「飲酒運転防止(7つの落とし穴)」を購入された千葉
県の運輸会社の方にお電話したところ、あらら……

――購入された理由を教えてください。

社内懇親会の景品で何かいいものはないかと探していて、「見た目のイン
パクト」と「トイレから飲酒運転防止」という発想が面白いので購入を決め
ました。

――懇親会での反応は?

当日は景品の見本として一つ置いておいたのですが、何人もが手に取って
中身を見始め、「え?酒が抜けるのそんなに時間かかるの?」とか「寝れば
抜けると思っていた、危なかった…」と立ち話に。
そのうち、「切って持って行っていい?」という人が続出。結局、見本に置
いてあった1ロール丸ごと切り取られて持って行かれてしまいました!(笑)

――そ、それはすごい反響ですね。

後日、「景品のトイレットペーパー、自宅のトイレに飾っています。見るた
びに飲酒運転しないようにと気が引きしまります(笑)」と、声をかけてくれ
た社員もいました。やってよかったです!

★トイレットペーパー「飲酒運転防止(7つの落とし穴)」
 マンガで予防知識を! 話題づくりにも!
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 http://c.bme.jp/13/297/1472/1916


★その他、職場の飲酒運転対策に最適の教材・予防ツール

◆ASKアルコール体質判定セット「かんたんジェルパッチ」
 自分の体質と、体質ごとのアドバイスを知ろう!
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◆アルコールの1単位カード
 これだけは知ってほしい情報を、名刺サイズで!
 http://www.a-h-c.jp/tool_1tani_card.html

◆DVD&ハンドブック「知って得する!アルコールの基礎知識」
 定番中の定番。これを知らないと飲酒運転は防げません!
http://www.ask.or.jp/ddd_dvd.html

◆トイレットペーパー「危険ドラッグにNO!」
 薬物乱用防止について伝えたい6つのこと!
 http://www.ask.or.jp/yakubutsu_paper.html

◆ASKリバーシブル予防パンフ
 知恵と工夫が詰まったカラフルなパンフ、4種類
 http://www.a-h-c.jp/tool_reversible.html

◆飲酒運転防止研修<e-ラーニング>
 「15分で学べる必須のアルコール知識」
 *ANAとJTにカスタマイズ版が採用されています!*
 http://www.ask.or.jp/ddd_elearning.html 

◆ASKアルコール通信講座
 依存症への対応がしっかり学べます
 http://www.a-h-c.jp/tsuushin_alcohol.html


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  3.ニュースCLIP!
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熊本・大分が大地震とその余震にさらされた1ヵ月。
この間、全国的に20代の飲酒運転事故がむちゃくちゃ多かったです。
高齢者と、二極化しています。

このコーナーは、友井と今成の共同作業でお届けしています。
お時間の許すかぎり、おつきあいください。

Facebookページ「ASK飲酒運転防止プロジェクト」でも日々、ニュース
のシェアを行なっています。どうぞご覧ください。
  ↓ ↓ ↓
http://c.bme.jp/13/297/1480/1916

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 1)20代の飲酒事故――逃走
 2)えっ、まだある、20代の飲酒事故
 3)二極化? 高齢者の飲酒運転
 4)「翌日が午後からの勤務なので飲み過ぎた」

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1)20代の飲酒事故――逃走

神奈川県葉山町で男女3人を死傷させた飲酒事故の初公判が行われています。

◎「飲酒運転をごまかそうと」検察 海水浴場3人死傷
 (5月16日 テレビ朝日)

被告(20)は昨年8月、葉山町の県道で乗用車を運転中、制限速度を30キロ
以上超える速度で海水浴客の列に突っ込み、大学生を死亡させ、男女2人に
重傷を負わせて、現場から逃走……。
公判で被告は起訴内容を、「間違いありません」と認めました。
検察側は、「被告は事故の前、海水浴場で友人とビールや酎ハイを飲んだ」
「飲酒運転をごまかそうとして事故の後、家に帰り、さらに酒を飲んだ」と
指摘。
弁護側は「家まで運転して戻っているので、飲酒の影響は決定的ではない」
と主張しているようです。
判決は25日に言い渡される予定です。

若者が起こす飲酒事故が、増えているように思います。
以下は、飲酒発覚を恐れて逃走したケース。

●21歳男性 無職【ひき逃げ】東京都(4月19日 TBS)
 4月9日未明、男性会社員をはねて重傷を負わしそのまま逃走。
 呼気から基準値の3倍近いアルコールが検出。
 「飲酒運転がばれるとまずいと思い、怖くなって逃げた」と供述。

●29歳男性 左官業【当て逃げ】愛知県(4月22日 中日新聞)
 4月21日午前6時頃、停車中の軽自動車に追突。5台が絡む事故を起こし、
 現場から逃走。帰宅後に親に相談し、親が110番通報した。

●23歳男性 会社員【ひき逃げ】大阪府(4月30日 毎日新聞)
 4月29日午後5時45分頃、乗用車を運転中に追突事故を起こす。呼気から
 基準超のアルコールを検出。「酒を飲んで運転したのは間違いない。
 事故はよく覚えていない」と供述。

●27歳男性 会社員【当て逃げ】佐賀県(5月2日 佐賀新聞)
 5月1日午前1時50分頃、追い越しざまに接触し、そのまま逃走した。
 呼気0.55mg/lのアルコールを検出。

●20歳男性【ひき逃げ】静岡県(5月8日 CARVIEW)
 5月1日午後11時40分頃、原付バイクと出会いがしらに衝突、相手の男性
 を死亡させ、逃走。出頭時、呼気から微量のアルコール分が検出されて
 おり、飲酒運転の発覚を恐れて逃走した可能性を含め捜査中。

若さ+飲酒+運転は、最悪の事態を引き起こすのです。


2)えっ、まだある、20代の飲酒事故

まだまだあるんです。
これでもか、これでもかと、20代です。
20代に、なにか起きているのでしょうか?

●29歳男性 自称会社員【塀や車に衝突】栃木県(4月18日 下野新聞)
 4月16日深夜、民家の塀や堀、塀の奥に止めてあった乗用車と衝突。

●29歳男性 自営業【トラックと正面衝突】埼玉県(4月25日 埼玉新聞)
 4月24日午前3時20分頃、ワンボックスカーを運転し、対向の3トントラッ
 クに正面衝突。帰宅途中で呼気0.5mg/lのアルコールが検出。

●22歳男性 会社員【死亡事故】大阪府(4月30日 毎日新聞)
 4月29日午前3時5分頃、交差点で衝突事故を起こし、会社員を死亡させた。
 基準超のアルコールが検出。「自宅近くの居酒屋で飲み帰宅途中だった」

●24歳男性 小学校臨時教諭【蛇行】広島県(5月4日 毎日新聞)
 5月3日午前1時30分頃、ふらついている車を署員が発見し、呼気検査で0.3
 mg/lのアルコールを検出。

●26歳男性 自称美容室経営【4台玉突き】北海道(5月6日 北海道新聞)
 5月5日午前5時20分頃、信号待ちで停車中のタクシーに追突し、そのはずみ
 で軽乗用車など4台が玉突きする事故に。
 「午前4時頃まで、スナックで焼酎の水割りを数杯飲んだ」

●28歳男性 JR東日本職員【軽トラックと衝突】群馬県(5月6日 産経新聞)
 5月9日午前5時45分頃、T字路で軽トラックと衝突。

●21歳男性 無職 【車と接触】福岡県(5月11日 日本テレビ)
 5月11日午前7時10分頃、原付バイクを運転し、交差点で乗用車と接触。
 「ビールを飲んで帰宅しようとしていた」

●29歳男性 塗装工【歩道に乗り上げはねる】埼玉県(5月15日 埼玉新聞)
 5月15日午前6時25分頃、酒に酔った状態で運転し、縁石を超えて歩道に乗
 り上げ、ボランティア清掃していた男性をはねた。車は電柱に衝突して止
 まった。呼気0.7mg/lのアルコールが検出。

高校生の無免許・酒気帯び。車両を提供したのは21歳でした。

●16歳男性 男子高校生【無免許・酒気帯び】愛知県(5月8日 毎日新聞)
 5月8日午前0時55分頃、無免許で酒気を帯びた状態で、知り合いの軽乗用車
 を運転。不審な車を見つけた署員が職務質問をして現行犯逮捕。
 助手席にいた21歳の会社員も、無免許・飲酒を知りながら車両を提供した
 として逮捕。

若者対策が急務です!!!

☆若者の飲酒運転事例の分析(ASK)
http://c.bme.jp/13/297/1481/1916


3)二極化? 高齢者の飲酒運転

4月27日午前7時15分頃、佐久市春日の県道で、登校中の小学生の列に突っ込
み、児童4人を次々はねるという事件がありました。

◎酒気帯び運転容疑 小学生の列に車…4人けが、77歳逮捕
(4月27日 毎日新聞)

現場は片側1車線の緩やかなカーブ。
軽トラックはセンターラインを越えて反対車線側の歩道の縁石を乗り越え、
歩いていた児童4人に後方から突っ込んだといいます。
運転していたのは77歳の無職の男性。
「酒を飲んでから一晩寝たので、大丈夫だろうと思った」と話しているとか。

一晩寝れば酒は抜ける? それは、量によります。
個人差はありますが、アルコールの分解はビール中瓶1本(あるいは日本酒
1合、焼酎100ml)につき、男性およそ4時間、女性およそ5時間かかります。
しかも睡眠中は分解時間が遅れます。
もしビール中瓶3本飲んだら、一晩寝てもアルコールが残っていると考えた
ほうがいいのです。
もう1つ大事なポイントは、加齢によって、分解時間が遅くなるということ。
高齢者は、アルコールの抜けが悪い、と覚えておいてください。

以下、60歳以上の飲酒運転を集めました。
多いです。若者と二極化している状況です。

●67歳男性 農業【当て逃げ】三重県(4月21日 伊賀タウン情報)
 4月20日午後7時50分頃、軽トラックを運転し乗用車と衝突し逃走。
 逃走後現場に戻ってきた容疑者から酒の臭いがし、酒気帯びが発覚。

●74歳男性 無職【出会いがしらの事故】静岡県(4月23日 静岡新聞)
 4月22日正午頃、出会いがしらに事故を起こし、双方が酒気帯びであること
 が発覚。会社員の男性(40)と、無職の男性(74)が逮捕。

●74歳男性【接触】佐賀県(4月24日 佐賀新聞)
 4月23日午後5時頃、対向の車と接触。呼気0.25mg/lのアルコール検出。

●60歳男性 会社員【パトカー追跡で衝突死】青森県(4月26日 産経新聞)
 4月26日午前1時50分頃、駐車場で職務質問したところ、酒の臭いがした。
 その後、走行中の会社員の車を発見、追跡したところ立木に衝突し死亡。

●61歳男性 医師【バスと衝突】群馬県(4月26日 産経ニュース)
 4月24日午後7時50分頃、酒に酔った状態で乗用車を運転、路線バスと衝突。

●68歳男性 無職【タクシーに衝突】岡山県(4月28日 山陽新聞)
 4月27日午後7時40分頃、タクシーに衝突。呼気0.15mg/lのアルコール検出。

●60代 観光バス運転手【トラックと接触】東京都(5月10日 テレ朝NEWS)
 5月10日午前8時40分頃、首都高で大型観光バスとトラックが接触事故。
 バス運転手の呼気を調べたところ基準値を越えるアルコール成分が検出。
 「昨夜の酒が残っていた」と容疑を認めている。


4)「翌日が午後からの勤務なので飲み過ぎた」

警察官による飲酒運転が、3件もありました。
うち2件は50代のベテラン職員です。
勤務後の同僚との飲み会、自宅での晩酌……多量飲酒の習慣が背景にある
感じがします。

●31歳男性 巡査部長 山梨県(4月28日 日本経済新聞)
 ――勤務後に同僚と飲酒
 4月28日午前0時頃、軽乗用車を運転し、十数メートルにわたり、道路左の
 フェンスや電柱に衝突。27日に勤務後、同課の警察官と2~3人で、飲食店
 で飲酒したとみられる。

●54歳男性 警部補 宮城県(5月13日 河北新報)
 ――勤務後に同僚と飲酒
 5月11日午後11時15分頃、インターチェンジ下り線の接続道路で、酒に酔っ
 た状態で軽乗用車を運転。逮捕時に受け答えはしどろもどろで、足元はふ
 らついていたという。
 11日の勤務終了後、午後6時頃から飲食店で同僚7人と飲酒。同僚2人と2軒
 目に行き、午後10時頃まで、少なくともビール数杯を飲んだという。
 電車で帰宅後、車で仙台方面に向かおうとしたとみられる。

●58歳男性 巡査長 茨城県(5月14日 毎日新聞)
 ――前夜に自宅で晩酌
 4月14日午後0時半頃、二日酔いのまま自宅から署まで自家用車を運転。
 さらに看守業務を行うため、公用車を運転して移動した。
 巡査長は前日、自宅で発泡酒や焼酎を飲み就寝。署で留置管理係の女性
 警察官が酒のにおいに気づき、発覚した。
 「翌日が午後からの勤務なので飲み過ぎた。浅はかだった」と話している。

休みの前夜や、乗務までに時間があるときはつい飲みすぎるというのは、
運輸業界でもよく聞く話。
寝酒も、シフト勤務につきものです。
これがとても危険、知らず知らず依存症が忍び寄ります。

☆警察職員による飲酒運転 事例の分析(ASK)
http://c.bme.jp/13/297/1482/1916


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   4.山さんコラム No.118
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ASK飲酒運転対策特別委員会委員長
元・JRバス関東株式会社会長     山村陽一

◆禁酒を公言できなかった理由

山さんの「酒人生」シリーズ、モノをなくしたりケガをしたりと失敗談が続
いたが、今回は「飲酒の制限」というテーマで振り返ってみたい。

管理職になって、まだ独身だった時代のこと。
会議後の会合などでは一升酒になった。それが当時の国鉄の飲酒風土だった。
だが当時の山さんは、あくまで「機会飲酒」であり、一人で飲む機会も、飲
む量も少なかった。
意識して制限したわけではない。この時代、先輩のH部長が「俺は毎日、酒
を飲んでいる。酒なしの生活は考えられない」と発言したのを聞き、内心
「この人はアル中だ」と思ったことを、今も鮮明に記憶している。

結婚して晩酌開始。義母が妻に対して「お酒が好きな人には、さっと酒肴を
出し、1本預けておいて、ゆっくり夕食を用意すればよい」と教育してくれた
おかげで、毎晩違ったお通しを楽しみに、必ず飲む生活が始まったのである。

本社の厚生課にいた時代、35歳以上の定期健康診断に「ガンマGTP検査」
を導入した。そのころ成人病予防が叫ばれ、飲酒運転事故も発生していたか
らだ。
だが実際に酒の制限を考えたわけではない。午後5時になると課長以下、部屋
の片隅で酒を飲み始める毎日だった。
昼間、課長は別室にいて、大まかな業務方針は、この夕方の酒の場で披瀝さ
れる。一緒に酒を飲まないと、仕事にならなかったのだ。
当時は何事もそうだった。
たとえば職場監査ならば、監査後の夕食は盛大な酒盛りとなる。酔いにまか
せ、本社側は相当厳しいことを言い、地方幹部は苦しい実情を語る。これが
本音の監査報告。そして、このヤリトリを踏まえた、当たり障りのない報告
書を作成するのである。

山さんが、はじめて酒を制限したのは、39歳の7月だ。当時は総務部長を務め
ていた。
扁桃腺がひどく腫れあがり、しかも真っ白に膿がたまった。産業医を務める
女医が「ひどい状態だから」と血液検査をする。結果、ガンマGTPが120
を超えていた。
「1ヵ月半禁酒してください」と指示された。
山さんは「現場長会議があるから無理」と抵抗した。
「会議はお酒を飲む場ですか?」そのうえ「健康診断を担当する部長さんが、
検診結果を尊重しないのは困ります」との強い反論があった。
これには負けた。シブシブ従うことになった。
しかし、それからが大変。

現場長会議後の晩の懇親会では、何十人もの駅長や区長が杯を持って挨拶に
くる。
いつもなら、さし出された杯を、さっと飲み干し、酒を注ぎながら「お客さ
んの動きはどうか」「このところは、事故がなく順調だね」などと会話をす
る。
強い人となら2・3杯やりとりをするのが普通。
今回は禁酒のため、ビール瓶に麦茶をいれ、「夏だから特製ビールをもらっ
た。これを注いでくれ」などとごまかした。
コップに注ぎ足しだから泡が出なくても、不思議に思われない。無事、会を
乗り切った。
1ヵ月半の禁酒期間、この特製ビールは気づかれずにすんだが、時には、酔っ
ぱらった現場長に「それを一杯飲ませてくれ」としつこく迫られることもあ
った。
一番困ったのは、特製ビールで陽気に振舞い、冗談をいうクセができたため、
「麦茶」を飲むとつい冗談が出てしまうこと。夏の盛りに現場巡廻すると、
どの職場でも冷えた麦茶を出す。厳粛な話をしているはずなのに、陽気にな
り、駄じゃれをとばしたりした。

今振り返れば、特製ビールなどとごまかすよりも、はっきり「飲みすぎがた
たってガンマGTPが100を超え、ドクターストップで禁酒している」と、
正直に話すべきだったと思う。
山さん自身が、ガンマGTP検査を健診項目に入れた提案者なのに、当の本
人が禁酒を公言せずに誤魔化すのだから、いかに「酒の席で会話してこそ本
音が聴ける」との飲酒文化に毒されていたかがわかる。
もしも懇談会に先立って、総務部長である山さんが自ら、「健康診断の結果、
禁酒するから、皆さん、酒を注がないでほしい」「同じく、ガンマGTPの
高い人、血圧の高い人、糖尿気味の人、医者からほどほどにと言われている
人へは、注がないように」と挨拶したら、大変、効果的だったろう。
今だから、そう言えるのだが、あの頃はどうだっただろうか。
当時、もし禁酒発言について局長や他の部長へ事前に相談したら、「懇親会
がメチャメチャになるから止めろ」と猛反発をくらったに違いない。そして
本社からは、「総務部長不適任」と評価されただろう。

さて、禁酒期間を終えた当初は注意しながら飲んだが、次第に制限せずに飲
む習慣が再発。
2年後、またガンマGTPが100を超え、1ヵ月禁酒をした。
この時期は国鉄末期で、職場規律を確立するための現場監査、メンタルヘル
ス対策、飲酒事故防止などを担当したから、苦労せず禁酒期間を過ごせた。
酒好きで知られていた山さんが地方へ出張して会議のあと、「今回の会議は
職場規律問題だから、酒抜きでいこう」と言っても、誰も疑わず、反発しな
い。そうせざるを得ない時代だった。

さらに数年後、JRバス関東の社長を務めていたころ、またまたガンマGTP
が100を超えた。禁酒1ヵ月半。
このときは、たまたま現場で飲酒による不祥事があったから、それにひっか
けて禁酒し、値を正常に戻した。
そのあと、「酒を飲むなら2合」を提唱し、自らも実行しはじめた。
ここで無制限の飲酒に逆戻りしなかったのには、いくつかの理由がある。
3回の禁酒体験の結果、酒の量を抑えるのが楽になったこと。
年齢も50代の後半に入って、大量飲酒が身体にこたえるのを実感したこと。
バス会社で「酒の飲みすぎ」が、いろいろ問題を起こしているのが、はっき
りしたこと。

節酒を宣言し、周囲にも呼びかけることで、自らの健康と、会社の健康、両
方とも改善できる。
酒2合の根拠は単純だった。1合では満足できず、3合だとあとをひく。だから
2合。
社内向けに書いていた「おしゃべりノート」という月2回の定期発信メール
2000年2月1日号に「2合酒のススメ」を出した。同時に、1合枡を持ち歩くよ
うになり、飲む場でご披露した。

だが、その後も飲酒運転事故が発生した。
会長時代の2003年に運転手が飲酒運転で現行犯逮捕され、会社の対策の中で
欠けていた部分を痛感させられた。依存症の予防や早期発見も含めて、体系
的なアルコール教育が必要だったのである。
また、自己流の「酒2合」ではなく、やはり「酒1合」にすべきことがわかり、
現在は山さんもそれを実行している。

個人的にみると、たびたびの禁酒が現在の節酒に大いに役立っている。
そして、節酒が簡単でなく、何回か失敗を重ねるものだということもよくわ
かる。
皆さんも酒の個人史を書き出してみてはいかが。


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  5.ASKの活動ご紹介
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特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)は、アル
コール問題の予防に取り組む任意団体として1983年設立、2000年にNPO
法人になりました。1994年には、出版・研修の事業部門が(株)アスク・
ヒューマン・ケアとなり、活動と事業の両面から予防を推進しています。

ASKでは、「飲酒運転を防止するためには、アルコール依存症の早期発
見・介入を視野に入れた総合的な予防対策が欠かせない」との認識のもと、
2005年に飲酒運転対策特別委員会を発足させました。
山村陽一委員長と今成知美ASK代表のリーダーシップのもと、被害者遺
族・専門家・関係機関と連携しつつ、予防と再発防止の両面から本格的な
飲酒運転防止対策に取り組んでいます。

これまでに行なってきた活動は……

・被害者遺族による厳罰化署名運動や、生命のメッセージ展に協力
・NASVAの運行管理者用テキストに「一歩踏み込んだ飲酒運転防止対策」執筆
・アメリカで酒気帯び運転で検挙された日本人に対して米国裁判所指定の
 教育プログラムを実施
・日本損保協会の「飲酒運転防止マニュアル」に執筆協力
 日本損保協会主催のシンポジウムに協賛し、全国各地で講演
・バス会社から運転手向け予防プログラム「セルフケアスクール」を委託
・「飲酒運転防止<通信スクール>」のプログラム開発
・職場の飲酒運転対策メルマガの発行
・啓発パンフ「飲酒運転 あなたは大丈夫?」制作
・アメリカ・カリフォルニア州の飲酒運転再犯防止対策の視察、
 内閣府主催シンポジウムで報告
・国土交通省主催のシンポジウムで発表
・オーストラリア・ニューサウスウェルズ州の対策を視察
・国の「常習飲酒運転対策推進会議」で海外視察報告
・「飲酒運転 懲戒処分事例の分析07・4・10」をまとめる
・研修用DVD「知って得する!アルコールの基礎知識」製作
・日本損害保険協会助成で〔飲酒運転防止インストラクター養成講座〕開始
・「飲酒運転 運転代行の落とし穴06・9~08・4」をまとめる
・「教職員の飲酒運転 懲戒処分事例の分析07・10~08・9」をまとめる
・警察庁主催シンポジウムで報告
・内閣府、常習飲酒運転者対策についてのヒアリングで報告
・特設サイト「職場の飲酒運転対策チェック!」を製作
・DVD「知って得する!アルコールの基礎知識」冊子化
・厚生労働省シンポジウムで報告
・トイレットペーパー「飲酒運転防止(7つの落とし穴)」を製作
・「警察職員による飲酒運転事例の分析07~11」をまとめる
・<e-ラーニング>「15分で学べる必須のアルコール知識」を製作
・ASKリバーシブル予防パンフを製作
・警察庁に「普通免許学科教習における飲酒運転防止教育の強化について
 の要望書」を提出
・「若者と女性の飲酒運転事例分析 12・4~13・3」をまとめる
・自動車工業会のシンポジウムで、飲酒運転防止インストラクター養成講座
 について報告
・アルコール健康障害対策基本法が成立(2013.12.7)、施行(2014.6.1)
・今成が、アルコール健康障害対策関係者会議の委員に(2014.10~2016.10)
 教育・誘引防止・飲酒運転等ワーキンググループ座長を務める(2015.3~8)
・アルコールの1単位カード、啓発用バナーやパネルを製作(2015.9)

↓詳しくは、ASKのホームページをご覧ください↓
http://c.bme.jp/13/297/1483/1916

=====================編集後記 *つぶやき*========================

アルコール健康障害対策推進基本計画が、閣議決定へのプロセスを進んで
います。次号のメルマガでは、正式な決定をお知らせできるでしょう。

国の基本計画のあとは、いよいよ、都道府県に舞台が移ります。
その先頭を切ったのが鳥取県。
なんと、国の基本計画より先に「鳥取県アルコール健康障害対策推進計画」
を策定してしまいました。
小さな県が日本をリードする! 心意気を感じます。
全文、ここからダウンロードできます。
 ↓ ↓ ↓
http://www.pref.tottori.lg.jp/255895.htm

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 【職場の飲酒運転対策メルマガ】120号 16.5.17
                  
 発行 特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)
    飲酒運転対策特別委員会
  
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       Tel 03-3249-2551 Fax 03-3249-2553             
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  設置された飲酒運転対策特別委員会が、情報提供のために発行する
  ものです。ASKのホームページ http://www.ask.or.jp/ からご登
  録いただいた方に、月1回、無料で配信します。
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